河内迎春年越しツアー(後編)

  新年あけましておめでとうございます。2007年の年明けは、カプセルホテル内でテレビを見ながら迎えてしまいました。
  元旦から、早速駅そば巡りを再開します。……しかし、甘かった。元旦は休みの店が非常に多い。南海なんば駅2階改札内の「南海そば」に続いて、新今宮駅南海改札内「戎そば」(写真)も休み。この店は実食済みだから、写真を撮るためだけに訪れたのだが、それすらも叶わなかった。
  今日は駅そば巡りついでに住吉大社を参拝しようと思っているので、南海で一路南へ。でも、住吉大社駅はスルーして住之江駅まで乗る。なぜなら、あくまでも「駅そば巡り」が旅の主役だから。
  しか〜し、住之江「日光」も今日は休み。ぐむぅ、なかなかうまくいかないものだな。
  住之江から住吉大社まで、徒歩で移動。さすが、大阪屈指の初詣スポットだけあって、ごらんの有様。人、人、人です。でも、東京と違って、大阪の人混みはそれなりのスピードで動いてくれる。せっかちな私は、東京では人混みに紛れるとげんなりしてしまうのだが、大阪の人混みはそれほどストレスにはならない。旅行中だからということで、気分が高揚しているせいもあるのかもしれないけど。
  ともあれ、無事に参拝を終えました。住吉大社は拝殿がたくさんあって、どこで拝んだらいいのかよく分からないのですが、まぁ人がたくさんいるところで賽銭投げておけば間違いないでしょう。拝殿がたくさんあるということは、賽銭箱もたくさんあるわけで、すべての拝殿で拝んでいたら結構な出費になります。私はそれほど信心深い人間ではありませんから、拝むのは1回だけ。むしろ、お守りを買ったりおみくじを引いたりという方に、財を投じます。
  参拝後は、ひたすら南へ向かって歩きます。漫歩in大阪です。その途中、阪堺軌道の細井川駅付近で撮った写真がこれ。おじさん、平気で線路を歩いています。というか、阪堺軌道は基本的に路面電車で、駅が小さく、駅の入口がどこにあるのかもよく分かりません。線路を歩いた方がショートカットになるのか、あるいは線路を歩かないと行けない駅……なんてことはさすがにないのでしょうけど。
  堺まで歩いたのですが、結局駅そばに巡り会うことはできませんでした。なんば駅まで戻り、3階改札を出たところにある「南海そば」で、ようやく今日の1杯目にありつくことができました。同じ「南海そば」なのに、2階は休みで3階は正月返上で営業していました。関西名物の「きざみそば」をいただきました。
  この店最大の特徴が、これ。割り箸です。これでもかと言わんばかりに詰め込んで、高さ1mほどのタワーを作り上げています。もはや、芸術作品ですな。よく倒れないものです。なんだか、取るのが勿体ないですね。なぜかって、客がどんどん割り箸を取っていくと、それだけタワーが低くなってしまうわけで。変なところから抜き取ると、バラバラと崩れそうで怖いです。一番上から取っていくのが無難でしょう。
  おなかが落ち着いたところで、今度は近鉄電車に乗って生駒まで足を延ばします。これ、1995年に関西方面を旅した時(大日本記Vol、5「四都物語編」)と同じコースを辿っているわけですが、どうしても見ておきたい景色があったんです。
  それが、これ。空が曇っているのが残念ですが、車窓から大阪平野が一望できるのです。近鉄奈良線は、瓢箪山駅を東に出た辺りから徐々に高度を上げていき、額田駅〜石切駅間で一気に眺望が開けます。地元の人は慣れているからなのか、別に騒いだり写真を撮ったりということはしないようですが、私個人としては、この眺めは全国屈指なのではないかと思っています。今度来るのは、絶対に夜。夜景を眺めてみたいなと思っています。
  大阪中心部に戻って、鶴橋「うどん亭」で今日の2杯目。きつねそばです。揚げ玉が入っていますが、これはカウンターに置いてあって無料で入れ放題……かと思いきや、「レンゲ2杯まで」との注意書きがありました。まぁ、揚げ玉はやたらたくさん入れても油臭くなるだけですから、2杯入れられれば十分なのですが、このような注意書きは初めて見ました。おそらく、タダだからといって山盛り入れる人が後を絶たなかったのでしょう。入れるだけならまだしも、それで残されたりすると、店としてはがっかりですよね。食べきれる量だけ入れましょう。
  今日は、午前中は住吉大社、午後は額田〜石切と観光を入れたが、夜も少し出歩く。昨日も通天閣周辺を歩いているのだが、今日は恵美須町側からアプローチ。この辺りには、立ちそばが結構ありますね。今日は休みだけど。次回以降の大阪探訪の際には、この辺りがクローズアップされることになるかもしれません。
  今日の夕食は、スーパーで買い込みます。私のお気に入りスーパー「玉出」です。このチェーン、東京に進出してくれないかなぁ……。
  例によってカプセルホテル「アルデバラン」に投宿し、買い込んだ食料をご開帳。前列左から、お茶、お好み焼き、高菜ご飯。後列左からワンカップ日本酒、おにぎり3個。これだけ買って、約700円です。大阪ではもう少し外食もしてみたいという気持ちもあるのですが、それはたまたま「玉出」が出店していない地域で腹が減った場合、ということになりそうですね。
  夜が明けて、1/2。そろそろ、大阪満喫ツアーを終わりにして、帰路につかなければなりません。ホテルを出て道頓堀川を渡ります。これだけ森閑とした道頓堀というのも、なんだかちょっと気持ち悪いですね。正月の早朝。これが一年で唯一、ミナミが寝静まる時間帯なのかもしれません。
  今日は北陸路を辿って新潟方面へ行くのですが、米原から先は列車が少ないので、こちらの乗り継ぎを中心に予定を組みます。すると、米原までの途中で1カ所、下車探訪する余裕があることに。
  そこで、なかなか下車する機会のない(乗り換えも乗り継ぎもない駅)茨木駅で下車し、駅そばを探します。ありましたありました。関西圏大手のチェーン店ではありますが、「麺家」が改札出て左に。ここで、朝食がてら梅こんぶそばをいただきましょう。四角形に成型されたとろろ昆布の筏に、梅干しが一つ。う〜ん、風流ですねぇ。しかし、フリーの揚げ玉を乗せた結果、ちょっとゴチャゴチャした一杯になってしまいました。
  JR北陸本線の楽しみの一つが、これこれ。いかにも「ローカル」という感じの、折り畳み式の出入口ドアです。バスじゃないんだから……。このタイプのドアは間口が非常に狭いので、大勢が乗降するような駅では乗降に時間がかかります。そのため、駅に到着するずいぶん前から乗客たちが荷物を持ってドアの方へ移動していきます。なるほど、着いてから席を立ったのでは行列の一番後ろになってしまい、降りるのに時間がかかるから、早め早めの準備が身についているのでしょう。いいですね、遅刻常習犯の方々、「5分前行動」を習慣づけるには北陸に住むのも手かもしれませんよ。
  途中、小松駅で下車して駅そばを探しますが、改札外で見つけた「白山そば」は、お休み。ちなみに今日は朝イチで寄った弁天町「弁天うどん」もお休みでした。3が日はしょうがないのかな……。
  しかし、富山駅では無事に駅そばを食べることができました。JR待合室内の「立山そば 源」、富山地鉄待合室内の「越中そば」、どちらも元気に営業しています。嬉しかったので、連食してしまいました。まずは、「越中そば」から。エビ天が乗っていますが、メニュー名は「天ぷらそば」です。久々に食べる、色の濃い関東風のそばですね。
  一方「立山そば 源」の方は、関西風です。奮発して、天玉そばを注文しました。同じ駅なのに、店によって関東・関西風が違うのが面白いところですね。「越中そば」でおばちゃんに聞いたところ、「富山市内には関東風の店と関西風の店が混在している」とのことでした。なるほど、この辺りに境界線があるわけですね。ちょっとファジーな境界線ですが。
  ちなみに、「立山そば 源」でデフォルトで乗るカマボコには、「立山」の文字が入っています。金太郎飴式ですね。私、こういうのに目がないです。味が変わるわけではないのですが、旅情があって好きです。すごく印象に残りました。
  宿泊は、JR帯織駅から歩いて25分ほどのところにある健康ランド「ポエム」。夏だったら駅寝でもよかったのですが、さすがに冬の新潟で駅寝するほどタフではありません。空手部の強化合宿ではないのですから、約3000円の出費を呑みました。
  それにしても、全然雪がないですね。昨夜長岡駅ホームの喫煙所で地元の人と話したのですが、「ここ10年くらいはこんな感じだね」と言っていました。豪雪地では、より一層強く暖冬を実感します。
  最終日の1/3は、帯織から東京へ帰るだけ。時間的にかなり余裕があるので、駅そば巡りにも熱が入ります。
  まずは、JR弥彦線と上越新幹線の乗換駅・燕三条「藪園つばめさんじょう」から攻めます。山菜そばです。まぁ、どうということもない普通のそばなんですけどね、やっぱり旅先で食べる駅そばというのは格別です。寒い冬、それも寒い越後路だから、んなおのこと温かいそばが美味しく感じます。
  「燕三条」という駅名は、燕・三条の両市の名から名付けられています。そして、燕三条駅の待合室内には、両市の特産物がズラリと展示されていました。こういうのを眺めるだけでも、その土地のことについて学ぶことができていいものです。写真は、燕市特産の「金属洋食器」。この街は、日本一の金属加工品産地なのだそうです。一方の三条市は包丁・鋏・鋸などの作業工具の生産が盛んです。新幹線の線路を挟んで、洋の東西が向き合って居いるというのが面白いですね。
  越後川口からJR飯山線に乗り換えると、とたんに車窓風景が雪一色に変わりました。この変わり身の早さ、すごいですね。たった10分ほどの間に、すっかり地面が見えなくなってしまうのですから。我々東京の人間は「新潟=雪国」というイメージを持っているものだと思いますが、新潟の中でも雪国とそうではない地域があるわけです。
  でも、そういう私も、この景色を以て「新潟に来たなぁ」と実感してしまうのでした。
  わざわざ飯山線に乗ったのは、他でもない十日町駅「雪中庵」で一杯食べたかったからです。この店、実食済みなんですけどね、とにかく美味しいし、話題性も充分なので、食べたかったわけです。5月に発売される本にもこの店の記事を書きたかったし。
  月見そばなのですが、ワカメがデフォルトで入り、たぬきが入れ放題なので、かなり豪華な見た目になりました。もう少し麺が見えるような写真を撮りたかったのですが、気づいたときにはもう半分以上食べてしまっていました……。
  十日町から六日町まで、北越急行ほくほく線で移動します。JRで越後川口経由でも時間的には大丈夫だったのですが、なんとなくほくほく線に乗ってみたかったので。正月のUターンラッシュがが始まっているようで、車内はギュウギュウの超満員でした。
  そして写真は六日町駅。ホームの屋根に、なぜか梯子が掛けられています。まぁ想像するまでもなく、これは屋根の雪下ろし用なのでしょう。東京に住んでいると、こういうのも一瞬「なんで?」と思ってしまうモノですが、雪国では当たり前の光景なのでしょう。
  JR上越線で一気に高崎まで戻ってきました。そろそろ、旅も終わりが近づいてきています。辺りもだいぶ暗くなってきているので、もうイベントを組むとしたら駅そばくらいしかありません。というわけで、高崎駅ホームの「NREたかべん」で一杯いただきます。たぬきそばです。たぬきよりもデフォルトトッピングのワカメの方が目立ってしまっているのはご愛敬でしょうか。
  JR両毛線に乗り換え、桐生「給ヒ生駅そば」でもう一杯いきます。最後は王道の「天ぷらそば」。ぶっといネギが美味しくて、満足できる一杯でした。
  これで、今日は4杯目。今回の旅を通算すると19杯目になります。6日間で19杯……、我ながらすさまじいですね。ここまでいくと、そばも「健康食」とは言えなくなってくるかも。でも、好きなんだからしょうがない。食べずにいられない。今回の旅はこれで打ち止めだけど、次に旅立つときには、やっぱり駅そばを巡ることになるのだろう。
  最後に1枚。桐生駅のホームに滑り込んできたのは、わたらせ渓谷鉄道のワンマンカー。う〜ん、この郷愁溢れる車両、ぜひ乗ってみたい。しかし、これに乗ってしまうと、終電に間に合わなくなる。今日のところは諦めだ。いつの日か、また乗りに来ます。


戻ります。