’07夏の甲子園観戦ツアー(前編)

  今年は、去年より少し遅めの出発。なぜなら、沼津で未食駅そば「桃中軒」で食べたかったから。昨年は早すぎてまだ開店前だったわけだ。
  勢い込んで注文した、天ぷらそば。見事な青ネギです。というか、浅葱ですね。味覚的には特にどうということもなかったのですが、青ネギを見ただけでも「ああ、西へ向かって旅をしているんだなぁ」と実感できます。
  駅そば巡りはまだまだ続きます。というか、基本的に往復の間は全部駅そば巡りですね。「他のものは一切食べないぞ!」というくらいの意気込みで臨んでいます。
  こちらは、JR紀勢本線津駅改札脇の「汽笛亭」の、肉そば。肉の量にちょっと「?」な部分もありますが、肉の煮汁というのはそばつゆにもよく合います。変わりメニューに「フルコースそば」があり、これを頼まなかったことにちょっと後悔しています。
  ネギは青ですが、kじょちらは万能ネギですね。上の写真と見比べれば、違いが一発で分かります。
  余談ですが、「津」は「日本一短い駅名」で有名です。駅名表示板も、なんだか間が抜けていますね。この写真を知人に見せたところ、「つ」と「津」を合体させて、「?」と読んでいました。確かに、そう見えないこともないか……。
  続いては、京都駅JR4・5番ホームにある「麺家」のきざみそば。関西に来たら、一回は「きざみそば」を食べないと話になりません(と思っているのは私だけでしょうか)。きつねそばよりもあっさりしている(油揚げを味付けしていないので)ので、1日で駅そばを何杯も食べるような場合にはこのメニューを差し挟むといいでしょう。そうすれば、比較的飽きずに巡ることができます。
  初日は、例によって大阪ミナミのカプセルホテル「アルデバラン」に投宿。夕食は、もちろんスーパー「玉出」で。このスーパー、とにかく惣菜・弁当類の安さが魅力です。この日買ったものは、たこ焼き(右下)、鮭ご飯(左下)、極太巻き寿司(右上)、高菜ご飯(左上)、ペットボトルのお茶。これだけ買って、値段は550円くらい(レシート紛失したので、正確には分からない)でした。
  このスーパー、東京進出してくれないかなぁ。
  一夜明けて、朝も早よから甲子園球場に乗り込みます。ところが、ちょっと様子が変ですね。パッと見には気づかないのですが、よく見ると球場の外壁に名物の蔦が張っていません。蔦と同じ緑色にカモフラージュしてあるので、すぐには気づかなかったのですが、一度「蔦がない」と分かってしまうと、どうにも安っぽく見えて仕方ありません。
  外野スタンドの方まで回り込むと、まだ蔦が少し残っています。やっぱり、この方が重厚感があっていいよなぁ。上の写真だと、なんだか「○○市営スポーツセンター」みたいな感じがする。
  ともあれ、レフトスタンド中断に陣取り、開会式を見物。開会式を見るなんて私くらいのものだろうと思っていたのですが、意外にも内外野ともスタンドは結構埋まっています。まぁ、考えてみれば、開会式は49代表全校が出てくるわけで、2校しか出てこない試合よりも多くの人が見に来るというのも頷けることではあります。
  こちら、開会式の後片付け。選手たちが整列するために張り巡らされていたガイド線、これはゴム製だったんですね。左側の人たちがピンをはずすと、ゴムがビニョーンと右の人たちの方へ飛んでいく。なるほど、これならテキパキとと片づけられますね。
  今日の第1試合(開幕戦)は、佐賀代表・佐賀北vs福井代表・福井商。
  試合開始に先立って始球式が行われるのですが、結構凝っています。いきなり球場上空にヘリが現れたかと思うと、なにやら旗のようなものを落として去っていきます。実はこれが、始球式用のボールです。
  今回も、500ペットの水を凍らせたものを買い込んで、熱中症対策。これ、本当に使い勝手がいいです。後頭部などに当てて涼をとれるし、水分補給もできるし、しかも長持ちする。甲子園名物の「かち割り」は、せいぜい30分で溶けてなくなってしまうけど、ペットボトルの方はタオルを巻いておけば3時間くらい保ちます。値段はどちらも同じ(200円)ですから、ペットボトルの方が断然オススメです。
  というわけで、スタンドには売り子さんも結構来るわけです。ただ、ちょっと多すぎますね。これだけ「売り子さんだらけ」になると、いい加減鬱陶しい。
  それでも、ついついかわいい売り子さんを捜してしまうのは、やもめ男の悲しい性でしょうか。
  というわけで、試合です。開幕戦は退屈な貧打戦になりました。どうして、こんな試合をした佐賀北が全国制覇できたのか、まったくもって不思議です。そのくらい、お互いにあまりレベルの高くない試合だなという印象でした。
  結果は、2−0で佐賀北の勝ち。
  このお兄さんは、売り子さんではありません。では、何をしているのでしょうか? 答えは、球場内に持ち込まれたビン・カン類の回収に勤しんでいるのです。持ち込み禁止ということは分かっているだろうに、厳罰が下らないばかりに、結構平気で持ち込んでしまう人が多いのです。
  最低限のマナーは守りましょうね。
  第2試合に、沖縄代表の興南が登場。沖縄代表校の応援は必ず指笛が入り、沖縄らしさを全面に押し出してくれます。これは、もはや甲子園名物と言っていいでしょう。指笛は、テレビの中継でも聞こえるのですが、実際にスタンドで聞くと、その何十倍もの音量です。メガホンや金管楽器よりも音量が大きいです。
  その甲斐あってか、試合は興南が見事に岡山代表・岡山理大付に3−2で逆転勝ち。外野スタンドで、沖縄から応援に来た人が密かに「応援に大金がかかるから、本当は1回戦で負けてほしい」と言っていたのが印象的でした。
  第3試合は、これまた退屈な貧打戦で、栃木代表・文星芸大付が5−0で千葉代表・市立船橋を下しました。これで、今日の試合はおしまい。
  試合後は、再び駅そば巡りりモードに切り替わります。まずは、元町駅「大豊」の天ぷらそば。関西らしい、見かけだけは立派な天ぷらです。実はこの天ぷら、具がほとんど何も入っていません。だから「インチキ」というわけではなく、関西ではこれがスタンダードなのです。
  続いて、三宮駅「都そば」関西ではよく見かけるチェーン店(関東でも京成沿線を中心に展開している)ですね。だいたい味が分かっているチェーンですから、普段あまり食べない「おぼろそば」を注文してみました。
  関西のそばはもともと昆布が中心の出汁ですから、違和感はあまりありません。ただ、かなり塩気が強くなります。塩分を控えたい人には、このメニューはあまり勧められません。
  2日目は三宮駅近くの「神戸クアハウス」で一泊。迎えた3日目は、神戸市内を少し散策してから甲子園に向かいます。
  写真は、東海道・山陽新幹線の新神戸駅。とんだ山の中に駅があります。神戸というのは、すぐ背後に六甲山脈が迫っていて、平地面積が非常に狭いのです。よくこんな街が100万以上の人口を抱えていられるものだと、不思議に思います。
  山から下りて、阪急の春日野道駅前「つるやそば」で、朝食。この店は、比較的安い店が多い関西にあって、「ちょっと値段が高めかな」と思える設定になっています。しかし、その秘密は写真左の小さなおにぎりにありました。全品に、これが付くんですね。おにぎり込みの値段だから、ちょっと高めというわけです。おにぎりが要らない人にとっては「大きなお世話」ですけどね。
  ちなみにこのそばは、神戸名物の「ぼっかけ」(この店では「すじ肉」と表記)と天かすを乗せた、その名も「モダンそば」。
  甲子園に着いたときには、すでに第1試合が始まっていました。目が覚めるようなブルーの応援団を擁するのは、滋賀代表・近江。対するは全国最多の出場回数を誇る長野代表・松商学園。観戦4試合目にしてようやく打撃戦となり、観戦する方も白熱しました。3塁側アルプスから近いレフトスタンドで観戦していたこともあって、近江の8回裏の応援がすごく印象に残りました。息つく間もなく声が上がり、メガホンが上がり、スピード感のあるいい応援だったと思います。
  結果は、近江が9−3で勝利しました。
  第2試合は、愛媛代表・今治西が一方的に熊本代表・八代東を攻め、12−1で圧勝。試合が終わると、速やかに応援団の入れ替えが行われます。これは結構大変な作業ですね。前の試合の7回くらいから、次の試合に出る学校の応援団がアルプススタンドに入り始め、外野側の一角で待機します。そして試合が終わると、すぐに前の試合の応援団は退出し、次の試合の応援団が横にスライドして応戦席に移動するわけです。今まさに、第2試合が終わって、第3試合の応援団が移動を開始しました。この白&赤の応援団、どこかで見たことがありそうですね……。
  出ました! 広島東洋カープではなく、中央大学でもなく、甲子園上位進出常連の強豪、和歌山代表・智弁和歌山です。いつもながら、「C」の人文字が鮮やかですね。
  対するは、今大会ナンバーワンとの呼び声が高い佐藤投手を擁する、宮城代表・仙台育英。この両校が1回戦であたってしまうなんて、甲子園の神様は酷いいたずらをしてくれるものです。準々決勝くらいで見たかった、好カードです。
  佐藤投手を見ようと、さらには近畿勢の登場とあって、午前中には比較的空いていたスタンドが一気に埋まりました。1回戦からこれだけ客が入るなんて、高校野球人気が非常に高いんだなと感じずにはいられません。
  試合は、初回に仙台育英が2点を先取し、佐藤投手も150キロを超える速球をビシバシと決め、三振の山を築いていきます。ちなみにこの日の最高球速は154キロでしたが、スコアボードの撮影には失敗しました。
  しかし、5回まで順調に来ていた佐藤投手に、異変が起こります。6回、四球のランナーを置いて智弁和歌山の主砲・坂口に特大のホームランが! これで一気に同点、流れが智弁和歌山に傾きます。
  加えて、3塁側アルプスには、次の試合に登場する奈良代表・智弁学園の応援団が入り、仙台育英応援団のすぐそばで智弁和歌山の応援を始めました(もちろん鳴り物は控えていましたが)。仙台育英、完全にアウェーです。佐藤投手、大ピンチ!
  しかし、佐藤投手は動じることなく後続を断ち、打線も8回に橋本の3塁打で2点を勝ち越し、勝利をもぎ取りました。4−2で、仙台育英の勝ち。う〜ん、やっぱり、この両校が1回戦で当たってしまったのは、「勿体ない」の一言に尽きます。
  第4試合は、智弁学園vs香川代表・尽誠学園。どちらも名の通った甲子園常連校ですが、試合は一方的に智弁学園が攻めまくり、12−2で圧勝しました。まるで、目の前で敗れた姉妹校(智弁和歌山)の雪辱を期すかのような、猛打爆発でした。ちなみにこの後、2回戦では仙台育英vs智弁学園の対戦となり、智弁学園が5−2で勝ち、佐藤投手の「W智弁撃破」はなりませんでした。
  智弁学園にしろ智弁和歌山にしろ、応援に個性があっていいですね。人文字だけでなく、鉄琴(グロッケンか?)を使っているので、全体的に音が上品です。選曲にもオリジナリティが見られます。
  前編の最後に、駅そばを1杯。JR甲子園口駅ロータリー角「ほてい」の山菜そばです。やや太めの、香り高い麺が印象に残る、なかなか美味しいそばでした。
  3日目は、尼崎の「あま湯」にて一晩を過ごします。4日目以降については、改めて後編で紹介したいと思います。ひとまず、これでお別れします。


戻ります。