’07夏の甲子園観戦ツアー(後編)

  今日も絶好の野球観戦日和……と言いたいところですが、今日は甲子園には行きません。せっかく関西へ来たのですから、少し物見遊山的な日も作ろうということで、今日は尼崎からJR福知山線に乗り、あの忌まわしい事故現場を通って山陰側を少し巡ってみたいと思います。
  行きがけの駄賃ということで、篠山口駅で朝食を摂ります。もちろん、駅そば。1番ホームにある「浪花食堂」で天ぷらそばを。駅そばにしては珍しく、「天=えび天」ですね。ただし、だいぶ厚着していますが(^^;
  この店では、すべての客に対してスチロール製の使い捨て容器で出します。駅の外からも食べられる店なので、もしかしたら駅外から食べる場合には使い回しの丼(言い方悪いかな)かもしれませんが。ボリュームにちょっと難がある感じはしますが、まぁ朝食にはこれで十分でしょう。
  その篠山口駅のコンコースで、駅員の救急救命実習が行われていました。この場所でやるんだったら、もっとハッキリと一般公開にしてほしいし、内輪だけでやるのなら旅客に見えないところでやってほしい気もしますが、一応は「職員は全員こういう実習をやっているんだよ」というPRの意味もあるのでしょうか。
  もっとゆっくり眺めていたいところでしたが、列車の発車時刻が迫っていたのですぐに立ち去ります。
  駅そば「鬼そば」を犠牲にして改築された、福知山駅。高架ホームの、綺麗な駅舎に生まれ変わりました。ただ、JRに接続する北近畿タンゴ鉄道の駅舎は旧来のままなので、見た目にもアンバランスだし、乗り換え通路が非常に長くなってしまいました。JRの新駅舎は、旧駅舎の場所から少し動いているんですかね。乗り換えはえらく不便です。
  新駅舎改札外のレストランに、こんな貼り紙が。いや、別にいいですけどね。「卵かけごはん」が、偉そうに貼り紙を出すほどのメニューなのかな……と。しかもい、400円は微妙に高い。「新鮮野菜食べ放題」ってのが救いですかね。
  城崎温泉駅で途中下車し、昼食を摂ります。もちろん、駅そば。駅弁業者「たで川」の、きつねそばです。この業者は豊岡にも駅そば店を出していて、どちらで食べようか悩んだのですが、次回以後車で来るときに豊岡の方が停めやすいなと思って、今回は城崎温泉で食べました。
  篠山口「浪花食堂」と同じように見える丼ですが、使い捨てではありません。要返却。スチロール製ではなく、ペラペラながらもプラスチック製です。紅白のカマボコがヴィジュアル的にいいインパクトを与えていますね。
  今日山陰方面へ足を延ばしたのは、他でもない餘部鉄橋を見物するためです。わざわざこれを見に来るなんて、私もすっかり「鉄人」になってしまったなぁ……。実は昨夏にも一度見に来ている(その時は車で)のですが、その後のPCトラブルで写真が1枚残らずなくなってしまったので、再訪したわけです。橋の架け替えが決まって、そろそろ本格的な工事が始まりますので、取り急ぎやって来た次第です。
  やっぱり、ここは「鉄人」たちのメッカですね。カメラを提げた「いかにも!」な人たちがわんさといます。
  餘部駅は山の中腹にあって、少し登れば上からのアングルで(写真上)、集落へ下れば下からのアングルで(写真左)眺められます。ちなみに、車で国道178号を走れば、この鉄橋の下を潜ることができます。鉄橋のほぼ真下にトイレ付きの駐車場があり、観光バスなんかもよく来ています。餘部駅→駐車場は、徒歩5〜6分というところ。ひたすら坂道ですが、さほど苦になる道のりではありません。
  すでに架け替え工事は始まっていますが、今のところはまだ鉄橋の原形をとどめていますので、お別れを言いに行きたい人はお早めにどうぞ。
  こういう幟が立っていると、名残惜しさが増幅されます。同じ文言が入った記念スタンプが置いてあるのですが、人気を博していました。グッズも売られています。新しい橋が完成したら、今ほどには観光客も来なくなってしまうでしょう。地元に人々にとっては、それが吉なのか、それとも凶なのか。
  餘部から一路京都へ上り、京都市役所にほど近いサウナ「オーロラ」で宿泊します。このサウナ、メリットとデメリットがハッキリしています。メリットは「安い」、「コインランドリーがある」、「仮眠室がロッカー番号に対応している」ということ。そしてデメリットは「従業員が日本語通じない」、「混んでいる」ということ。また利用する機会があるかどうか、微妙ですね。
  夜が明けて、今日は京都から大阪まで歩く日です。鴨川河川敷の朝は気持ちいいです。鴨川の水面が、見事な鏡になっています。
  朝食は、京阪電鉄丹波橋駅の「麺座」で。私鉄の駅そば店を巡れるというのが、街歩きの魅力かもしれませんね。青春18きっぷを使っての鉄道移動だと、どうしてもJRに偏ってしまうので。
  特にこれといった特徴はないそばでしたが、メニューに「炙りきつねそば」があったのが気になります。あぁ、これを注文すればよかった……。初めて入る駅そば店では、このような失敗をよくします。券売機が店先にあるタイプならいいのですが、店内にあるタイプ、或いは口頭注文の店では、ついつい安易に選択してしまうのです。「あんまり時間をかけて悩むのは粋じゃない」と、勝手に思っているからでしょうか。
  丹波橋〜中書島の一帯は、伏見の酒造会社街です。伏見は、灘(神戸)・西条(広島)と並んで「日本三大酒産地」に数えられています。「伏見の酒」と言われてもピンとこない人が多いかと思いますが、代表銘柄をいくつか挙げれば納得していただけるでしょう。それが、この写真。他に、「月桂冠」や「松竹梅(宝酒造)」も伏見の酒(メーカー)です。
  京阪の線路に沿って歩けば大阪方面へ行けるだろうと高をくくっていたら、見事に行き止まりに。伏見の清掃工場と横大路運動公園に道を遮られ、進めなくなってしまいました。ずっと一本道だったから、今さら戻れというのはちょっと……。そこで、清掃工場の守衛さんに頼み込み、中を通り抜けさせてもらうことに。作業服を着た人とすれ違うたびに怪しまれたようですが、なんとか、大きな遠回りにはならずに済みました。
  こんな写真、乗せたらやばいかな……。
  八幡市駅で京阪電車に乗り、寝屋川市駅までワープします。この間は歩いてもあまり面白そうじゃないので。
  寝屋川市駅からまた京阪電車に沿って歩き始め、萱島で駅そばをゲット。「浅井」のきざみそばです。ふつう、きざみそばというと、丼一杯にきざみ(刻んだ油揚げ)が乗るものなのですが、この店では1/4ほどを占めているだけです。残りの3/4には、ワカメ、揚げ玉、ネギがそれぞれ陣取り、さらに真ん中にカマボコが乗せられます。だから、すごく豪華ですね。これで280円というのが信じられません。400円くらいの見た目ですよ。
  土居駅前にて。どこかで見たようなラーメン屋だなと思ったら、東京にも展開している180円ラーメン「一番」でした。大阪にもあるんですね。ちょっと看板の感じが違うような気もしますが。
  同じく土居駅前に、駅そば「都そば」があります。ここで、にしんそばを食べます。私、にしんそばはあまり好きではない(そば全体へのにしんの干渉力が強すぎる)のですが、一応京都の名物だし、「都そば」はだいたい味が分かっているチェーンですから、1回くらいは食べておこうかなと。
  やっぱり、生臭いですね。1回食べれば十分です(^^; なお、出されたときにはにしんが麺に包まれるようになっていたのですが、一度にしんをほじくり出してから写真を撮りました。じゃないと、かけそばに見えてしまうので。
  突然ですが、問題です。「放出中歩道橋」とは、どういう意味でしょうか。いったい何を放出しているのでしょうか?
  正解は、地名でした。「放出」は「ほうしゅつ」ではなく、「はなてん」と読みます。したがって、上の写真の「放出中」は「ほうしゅつちゅう」ではなく、「はなてんなか」というわけです。「放」を「はな」と読むのはまだしも、「出」を「てん」と読むのが理解不能ですね。
  都合5万歩歩いた今日は、さすがに疲れました。早々に「アルデバラン」にチェックインして、早めに寝ます。夕食は、例によって玉出で。今日のメニューは、麻婆豆腐丼、カレーライス、串団子、お茶。しめて393円也。あり得ない安さです。
  一夜明けて、今日は甲子園観戦の日。なんだか久々ですね。球場内に入ると食事のタイミングを失いますので、行きがけに西九条の駅そば「末広」で天そばを食べてから行きます。乗っている揚げ玉は、無料で入れ放題。天そばに揚げ玉を追加するというのもナンセンスな感じがしますが、無料だと多少なりとも入れたくなってしまうものです。
  今日の第1試合は、地元兵庫代表の報徳学園が出るとあって、朝も早くから多くのファンが詰めかけていました。私が着いたときには、すでにこんな席しか空いていないという状況。まだ1回戦なのに……。
  対戦相手は、青森代表・青森山田。今夏、私が優勝候補と睨んでいた一校です(私の予想は、◎高知、○青森山田だった)。序盤は緊迫した投手戦でしたが、報徳のエース近田に疲れが見えた終盤に青森山田が5点を奪い、完封で勝利しました。ちなみに、私が予想した優勝候補2校は、高知:初戦敗退、青森山田:2回戦敗退でした。高校野球は、予想が難しいですね。
  試合の合間に、外の空気を吸いに行きます。甲子園外野席の椅子は硬くて、長時間座っているとケツが痛くなるので、1試合ごとに外に出るようにしています。
  そこで気づいたのですが、アルプス席の端の方は、外野席と段違いになっていて、外から見えるんですね。逆に言うと、アルプス席から外が見えるということ。この席、もしかしたら特等席かもしれませんね。
  第2試合は、小刻みに得点を重ねていった福島代表・聖光学院が、粘る山口代表・岩国を11−7で振り切りました。乱打線で面白かったのですが、レベル的には「?」な試合。まさか、2回戦で青森山田が聖光学院に負けるとは思えませんでした。
  ところで、甲子園(に限らずどこの球場でもそうですが)のスタンドは、全面禁煙です。タバコは所定の喫煙所で。喫煙所にはモニターが設置してあり、NHKが放映されています。アルプスリポートなど、スタンドにいては見られないシーンは、喫煙所で見るのがベスト。
  第3試合は、ちょっと退屈な貧打戦でした。長崎代表・長崎日大が3−1で石川代表・星陵を破ったのですが、「どっちが勝っても次で負けるかな」と思ったものです。しかし実際には、長崎日大はこの後ベスト4まで勝ち進みます。まったくもって、高校野球は難しい。
  写真は、試合に敗れて「甲子園の土」を集める星陵ナイン。一列に並んで土を集めている姿が、報道陣のいい被写体になっています。このシーンはちょっと残酷な感じがします。カメラマンはもう少し離れてあげられないものでしょうか。
  今回は、3日間で合計10試合を観戦しました。1回戦だったこともあって、あまりレベルが高いとは言えない試合が多かったのですが、それでも一生懸命プレーする高校球児たちの姿は私を元気づけてくれます。
  私は、毎年何らかのテーマを持って甲子園に来ています。昨年は「終戦記念日の黙祷に参加する」、今年は「開会式を見る」です。来年は、どうしましょうか。今のところは、「内野席で見る」というプランを検討中です。
  甲子園球場、しばしのお別れです。また来年、必ず戻ってくるぜ!
  甲子園球場から、夕涼みがてら少し歩きます。空が真っ暗になったところで電車に乗るのですが、その前に、武庫之荘駅の「阪急そば」で一杯。
  メニュー名は「スタミナそば」ですが、実際には単なる天玉そばです。関西では、天玉を「スタミナ」と表記する店が結構あります。面白そうだと思って注文しても、お馴染みの品物が出てくるので要注意。
  でもこの店(というかチェーン)、味覚的には好きです。特に、関西にしてはわりと色の濃いつゆが美味しい。色が濃くても、やっぱり味覚的には関西風ですけどね。
  在阪最終日の夕食も、やっぱり玉出で。ド派手なスーパーですね。近くにあるとすぐに分かる、便利なハデハデ看板です。
  ちなみに、「アルデバラン」に宿泊する場合には、堀江店が最寄りになります。徒歩約10分くらいでしょうか。JR難波駅から行く場合には、左を見ながらなにわ筋を北上していけばすぐに分かります。玉出堀江店→アルデバランは、ほぼ一直線(最後に御堂筋の一本手前を左に曲がるだけ)です。
  最終日は、ひたすら駅そばを巡りながら帰るだけ……なのですが、どうにも未食の駅そば店を巡り会うことができません。王寺駅ホームに昔あった駅そば店は、影も形もなくなっていました。美濃太田「向龍館」も、閉店してしまったのでしょうか。かつての駅そば店が、ただの弁当販売所に化けていました。
  また、未食店ではありませんが、多治見の「びいどろや」が閉店していたのがショックでした。駅そばのみならず、駅弁もありません。う〜む、この駅そば(駅弁も含め)衰勢の流れは、一筋縄では抑えられないのだろうか。
  ようやく見つけたのは、JR中央本線千種駅ホームの「J.T.S」。月見そばで390円とかなり高いのですが、背に腹は代えられません。1食ありつけただけでもラッキーと思わねば。この店では、天ぷらを店揚げしています。食券を買う段階では分からない(厨房を覗いて初めて分かった)ので、今回は食べられなかったけど、いずれ試してみたいものです。
  最後に駅そばを食べたことで、今回の旅は未練なく終えることができました。この一杯がなかったら、びいどろや閉店のショックを引きずって家路につくことになったと思います。1杯の月見そばに、私は救われました。


戻ります。