小田原ブギウギ取材ツアー

  やって来ました、小田原へ。新宿から小田急線で約1時間半。意外と近い。運賃は850円。意外と安い。小田原というと、すごく遠く離れた街というイメージがあったのだけど、実は結構身近なんだな。
  早く街をブラブラしたいところなのだけど、今回は仕事で来ています。お楽しみは、仕事を片づけた後で。……てか、仕事もお楽しみのうちなんだけど。
  今日の至上命題は、2軒の駅そばを取材すること。詳しいことは「全国駅そば選手権」または「かんたん時刻表」(7月号。6/25発売予定)を参照していただくとして、ここでは写真を見て楽しんでいただきましょう。「全駅そ選」には店の写真しか載せないし、「かん時」には白黒写真しか載らないので。
  1軒目は、小田急改札脇の「箱根そば」。お馴染みのチェーン店ですね。写真は、季節限定の「梅おろしそば」。380円にしては、なかなか見た目に豪華です。梅干しの赤がいいアクセントになっています。この梅は紀州南高梅だそうです。
  唐辛子を振ったのは失敗でしたね。この味覚には、七味は不要かなと感じました。
  続いて、JRホーム(東海道線上り)にある、「小竹林」へ。チェーン店なのですが、小田原店にはオリジナルメニュー「小田原梅そば」があります。梅干しの赤味が薄いためか、見た目には上記「梅おろしそば」よりも貧相。でも、味覚と、「小田原ならでは」という付加価値は、こちらの方が断然上。なにしろ、この梅干しは「曾我の5年もの」なのですから(貼り紙が出ている)。「曾我」というのは、小田原市内にある有名な曾我梅林のこと。まさに、地場産モノなのです。値段的にも、350円と廉価。たぬきそば(360円)よりも安いのですから、この店では絶対に「小田原梅そば」がオススメです。
  さて、仕事も終わったことだし、少し小田原市内をブラブラしましょう。「小竹林」を取材するためにJR改札内に入った関係で、早川駅から歩き始めます。海岸を走る国道135号を北上し、国道1号にぶつかったところに、小田原消防署があります(写真)。
  よく見ると、、出動を知らせる赤色灯が、提灯型をしています。この辺り、歴史ある城下町の雰囲気を演出しています。そういえば、「小竹林」の店先にも提灯が2つ出ていたっけ。
  小田原城址に足を踏み入れます。昨秋、熱海まで歩いたとき(倉庫21参照)にも小田原城址に寄っているのですが、天守閣の裏手の方は歩きませんでした。そこで今回行ってみたというわけです。
  いやぁ、ビックリしました。天守閣の裏手一帯は、ミニ遊園地になっていました。もちろん絶叫マシンなんてものはないのですが、小さな子供に喜ばれそうな乗り物の類がたくさんあります。写真は、ミニSL。結構人気の的になっているようです。他にも、ゴーカートやティーカップなどがあります。
  そして、象の梅子さん。昨秋は行った時間が早すぎて見られなかったのですが、今日は元気な姿を見ることができました。カメラを構えると、鼻を突きだしてポーズをとってくれます。なかなかお茶目ですね。鼻先がヒクヒクしていて、今にも水をかけられそうでちょっと怖いのですが、水場の近くにいなければ大丈夫。
  私は20分ほど眺めていましたが、飽きないですね。激しい動作は一切ないのですが、飽きません。これがタダで見られるなんて、小田原はいい街だなぁ。
  小田原駅前を通過して、伊豆箱根鉄道大雄山線に沿って東へ、北へ。大雄山線の各駅がどんな感じなのかをチェックしつつ、駅そばでもあれば儲けモノ……と考えていたのですが、ダメですな、こりゃ。
  小田原のすぐ隣の緑町駅でさえ、この有り様です。ほとんど「駅舎」と呼べるようなモノはありません。もちろん、無人。都電の電停みたいなものです。切符売り場(販売機)もなく、乗車証明書(整理券のようなもの)を発行する機械が1台置いてあるだけ。ちなみに、井細田駅には切符販売機があり、五百羅漢駅には駅員が常駐していました。
  県道に出て、狩川を渡ります。道路のすぐ脇に小田急線の大仰なトラス橋が平行しています。どうってことない風景なんですけどね、トラス橋をロマンスカーが走っているだけで、なんだか絵になってしまいます。私鉄の有料特急って、本当に鉄道会社の顔なんだなぁと思います。逆に言うと、有料特急のない私鉄って、なんだか華がない。強引にでも設定した方がイメージ上がりそうな気がします。西武新宿線の「小江戸」でさえ、見かければ一目置いてしまうのですから(私だけ?)。
  小田急線富水駅付近にて。この辺り、蛍が生息しているんですね。そこそこ街なかなのに。
  でも、ブラブラ歩いていると、なんだか蛍が出そうな雰囲気がしてきます。その秘密が、次の写真。
  小田原市内には、至る所に小川(水路)があるんです。それも、そこそこ綺麗な水が流れています。小さな魚も暮らしています。豊かな丹沢山地に降った雨水が伏流水となって、湧き水となって湧いているのでしょうか。本当、「水郷」の名を冠したいくらいに、どこを歩いてもせせらぎが聞こえてきます。
  ある程度大きな川もあります。写真は、栢山駅から開成駅へ向かう途中ですが、小さな川が2本合流して、少し大きな川になっている部分。結構水面が高くて空恐ろしい感じもします。大雨が降ったら、溢れるんじゃないかな。また面白いことに、こういった川にはたいてい歩道が沿っているので、結構入り組んだ水路の奥の方まで歩いて入っていくことができます。もし、「小田原水路マップ」のようなものがあれば、きっとすごいことになるだろうな。道路以上に入り組んでいたりして。
  漫遊記も大詰め。開成駅を通過、十文字橋を渡って松田町に入ります。ところが、目下この十文字橋は掛け替え工事中で、車両通行止めになっています。バイクも通れません。歩いてみると、途中まではしっかりしたコンクリート橋なのですが、中ほどから狭隘な仮設橋になり、なるほどバイクも無理だなと思います。
  いずれにしても、早く掛け替えが済んでくれないと、住民はかなり不便だろうな……と思いきや、実際はそうでもないみたい。十文字橋のすぐ北に、立派な新十文字橋があるのです。それなら、十文字橋は歩行者専用のままでいいんじゃないのかな。新しい橋を造る必要、あるのかな。
  十文字橋からの眺め。新十文字橋の向こうには、丹沢山系の山々が迫っています。小田原駅あたりからは霞みがかって見えていた山々が、手を伸ばせば届きそうな場所に。随分遠くまで歩いて来たもんだ。山の緑も、酒匂の流れも、程良く歩き疲れた体を脚を、丁寧にもみほぐしてくれました。こういう雄大な景色を見ると、疲れを忘れますね。
  今日の漫遊は新松田駅で終わり。日没サスペンデッド。駅前に「箱根そば」があったので、行きがけの駄賃とばかりに一杯食べていきます。ここにも「梅おろしそば」があったのですが、同じものを食べるのも芸がないので、デフォルトに戻ってたぬきそばを。麺がブヨブヨと水膨れしていて、お世辞にも「質がいい」とは言いがたい一杯でしたが、これもまた駅麺ならではの「安っぽさ」。プラス思考で食べ干し、帰りの電車の中で寝る英気(?)を養ったのでした。
  仕事の取材も、こうして漫遊を絡めればいい遠足になる。さぁて、来月はどこを取材しようか。今から楽しみだ。


戻ります。