倉庫25:’08夏の甲子園観戦ツアー(前編)

  今回の旅は、山手線の始発で池袋を出て、新宿から中央本線で西へ向かうことから始まります。東海道線がだいぶ乗り飽きてきたということもありますが、中央本線方面には未食の駅そばがまだだいぶ残っているので。
  というわけで、朝食に南松本「イイダヤ軒」の天ぷらそば。今後しばらく関東風つゆ−白ネギのそばとはお別れですからね、じっくりと味わいました。やたらネギがたくさん乗っているように見えるのは、入れ放題だからです。地方では珍しいサービスですね。
  とにかく今日中に大阪入りできればいいわけで、時間には余裕があります。そこで、春日井で列車を降り、名古屋郊外を少し歩くことにしました。もちろん駅そば探索を兼ねてのことだったのですが、このあたりにはなかなか店がありませんね。
  写真は、JR勝川駅近くの商店街で見つけた、懐かしい「紙芝居」の自転車。どこで披露しているんでしょうかね。かつて、東京にもたくさんの「紙芝居という名のお菓子売りつけ屋」がいたものですが、まったく見なくなってしまいましたね。
  大阪の定宿「アルデバラン」で一泊します。値上げしましたね。今は2500円です。しかも、脱衣所が臭いし、自販機は1台死んでるし、衰退の一途を辿っているように見えます。頑張ってくれないと。
  で、翌朝。いよいよ甲子園に向かいます。写真は、大正駅まで歩く途中で見つけた、謎の石。大正橋の東詰めにあります。石があるだけならなんとも思わないのですが、鳥居の絵が貼ってあることからして、なんらかの「聖なる石」だと思うのですが……。
  大正駅近くの立ちそば「よどやん」で、腹ごしらえ。ふんわりした食感が楽しい「きざみそば」。カマボコとネギのコントラストがいいですね。揚げ玉はサービスです。
  ただ、この店はちょっと高いですね。きざみそばは400円します。駅の反対側に安い店「大正うどん」がありますから、もう3〜40円くらい下げないと厳しいんじゃないかなという気がします。こちらは寿司や酒類も扱う店なので、客層が違うのかもしれませんが。
  さぁ、甲子園です。改装工事中で、名物の「ツタ」が見られないのがちょっと残念。ツタに模したパネルが貼られているのが、かえって安っぽく見えます。工事が終わって、ツタが再生するのを待ちましょう。
  第1試合はすでに始まっていました。8時半試合開始って、ちょっと早いですよね。1日4試合やらないといけないから早く始めるのはしょうがないのですが、大阪に宿をとると、第1試合のプレイボールに間に合わせるのは至難の業です。早起き、できないこともないのですが、普段旅先では公園などで寝ることが多いため、たまに宿に入ると早い時間にチェックアウトするのが勿体なく思えてしまって。貧乏性ですね。
  第1試合は、関東一(東東京)と常総学院(茨城)の対戦。どちらも、甲子園常連の強豪です。特に常総学院は、名称木内監督が復帰して、話題を集めていました。私も、ベスト8くらいまでいくんじゃないかと予想していました。しかし、試合は終始関東一ペースで進みました。常総学院は守備の乱れもあって大量失点、5−13で初戦敗退でした。
  第2試合は、鳴門工(徳島)−本荘(秋田)。ハッキリ言って、この試合は「見るまでもなく鳴門工の勝ちだろう」と思っていました。ところが、本荘は大応援団(写真。動いたり回ったり、元気いっぱいの良い応援だった)を擁してアウェー感を吹き飛ばし、互角に試合を進めます。そして1点ビハインドで迎えた9回表に、2点を取って逆転! なんとなんと……と思ったのも束の間、その裏に鳴門工が2点入れて逆転サヨナラゲームでした。本荘、よく頑張ったんですけどね。ちょっとフォアボールが多すぎたかな。終わってみれば、四死球10ですから。
  甲子園球場、ハッキリ言って暑いです。単純に気温が高いだけでなく、人が多いから湿度も高くて、擂り鉢状になっているから熱気もこもります。席に座るときにも、いきなりガバッと座ると大変なことになります。座席、長時間空席になっていると、バッチリ焼けるんですね。うっかり手をつくと火傷しそうになるくらい。だから、はじめはタオルを敷いてその上に座るとか、水をかけて吹いて座るとか、工夫しないと尻を火傷します。
  涼の取り方は人それぞれですが、今日はコイツを紹介しましょう。あちこちに売店がある、かき氷。300円です。すぐに溶け出すため、ついガツガツと食べてしまいますから、長い目で見ると涼をとる効果は薄いのですが、ぬるくて泡だらけのビールよりはよっぽど良いと思います。こめかみにキーンとくる感覚、これも夏の風物詩ですね。
  第3試合は、今日一番の好カード。浦添商(沖縄)−飯塚(福岡)です。浦添商は、春全国優勝の沖縄尚学を破っての甲子園切符、飯塚は初出場ながら県大会7試合でわずか4失点という守りが売り。今大会の初出場校の中では、飯塚がダークホース1番手かなと思っていました。だから、組み合わせ抽選で浦添商と1回戦で当たると決まったとき、私は地元でもないのにがっかりしたものです。このどちらかが1回戦で消えてしまうなんて、あまりにも勿体なさすぎる!
  投手戦が予想された試合でしたが、飯塚のエースが途中で利き手の爪を割るアクシデントに見舞われ(これは後で知ったことですが)たこともあり、7−0で浦添商が快勝しました。それにしても、沖縄県勢の応援(写真左)は毎年すごいですね。指笛です。常にどこかでピーピー鳴っていて、相手チームを精神的に参らせる効力は絶大だと思います。イナゴが大発生する田んぼにいるような気分、という感じでしょうか。相手チームにとっては、鬱陶しいと思いますよ。飯塚の応援団(写真右)も人数多くて迫力ありましたが、指笛のような個性は感じられませんでした。
  第4試合は、ナイターになりました。千葉経大付(東千葉)−近大付(南大阪)の対戦です。今大会は記念大会で、千葉や大阪など予選出場校数の多い府県からは、2校ずつ代表が選ばれます。この2校も、そんな記念大会だからこそ出てこられたと言っては失礼ですが、千葉には木更津総合、大阪には大阪桐蔭という横綱がいるだけに、記念大会の恩恵を強く受けて甲子園切符を掴んだと言えます。
  3−1で千葉経大付勝利に終わったこの試合は、投手戦と言うよりは貧打戦。正直、見ていてちょっと退屈する試合でした。そんな中で注目に値したのは、千葉経大府のエース斎藤選手。鳴り物入りで甲子園にやってきた有名人ですけどね、低めのストレートの伸びは素晴らしかったですね。
  今日はいつものアルデバランではなく、ちょっと気分を変えて十三のカプセルホテル「シャン」に泊まります。値段はちょっと高め(3000円)ですが、館内に飲食処があるし、浴室もカプセルも談話室も、そこそこ綺麗でした。ただ、後からいろいろ増設したんでしょうか、館内の通路が迷路のように入り組んでいて、どこをどう行けばどんな施設があるのか、分かりにくいです。古い温泉地の旅館のような造りですね。まぁ、それもまた楽し、なのですが。
  翌朝も、朝食はそばです。1軒ずつ紹介するのは面倒なので、この日食べた駅そばを2軒ともいっぺんに載せます。
  写真左は、梅田地下街「鉄砲」の月見そば。味よりも、250円という安さが魅力です。ただし、梅田地下街はメチャクチャ迷いやすいです。私もだいぶ迷ったので、細かい場所説明はできません。JR大阪駅桜橋口から阪神梅田駅方面へ続く通路沿いの「ぶらり横丁」の中にあります。
  写真右は、阪急梅田駅茶屋町口改札外「阪急そば」のこんぶそばです(300円)。見た目にちょっとグロい感じがするかもしれませんが、無難に美味いです。昆布は、おぼろ昆布です。おぼろ昆布を乗せたそばは、首都圏でも扱う店が何軒かありますが、関西では定番中の定番です。ない店を探す方が難しいくらい。個人的にはさほど好きな部類に入るメニューではありませんが、これを食べると「関西に来たぞ」と実感できるため、行くたびに1回くらいは食べます。
  今日も、張り切って第1試合から観戦しましょう。第1試合には、我らが本庄一(北埼玉)が登場します。対戦相手は、開星(島根)。初出場の本庄一に対して開星は甲子園常連校。経験の差は歴然です。試合は、序盤に本庄一が効果的に加点したものの6回に同点。1点を争う好ゲームとなりました。こういう展開になると、経験豊富な開星の勝ちパターンかなぁと思いましたが、9回裏に日系ブラジル人の奥田選手がホームランを放ち、サヨナラで本庄一が初戦を突破しました。今大会初出場5校の中で、唯一の初戦突破です。
  写真左は、両手に持ったタオルを頭上に掲げて応援する本庄一のアルプス。右は、サヨナラホームランに歓喜する本庄一ナイン。
  第2試合は、青森山田(青森)−日本航空(山梨)の試合。青森山田も、私は県予選を見て「これは強いぞ」と感じていたチームでした。
  しかし、日本航空のエース・北野投手の前に、わずか3安打。完全に押さえ込まれる展開となりました。しかし、それでも勝つのが5年連続出場の「甲子園に慣れたチーム」の強み。9安打を放った日本航空に、2−1で競り勝ちました。青森山田は、これで4年連続の初戦突破ですね。だいぶレベルが上がってきました。
  この日は特に暑く、陽射しも強い一日でした。第2試合が終わる頃(昼下がりの、暑さのピーク)になると、バックヤードにはこんなのがたくさん転がっています。高校野球を観戦するときには、熱中症には充分に気をつけましょう。
  試合の合間を利用して昼食をとるために、西宮にやってきました。JRではなく、阪神の西宮です。駅そばがあれば入ろうと思っていたのですが、ザッと見た感じではないようですね。仕方がないので、コンビニでおにぎりなどを買い、駅北口のテラスで食べました。写真の右の方にパラソル付きのテーブルと椅子が見えますが、こんなのが5〜6組ほどあります。何のためのテラスなのでしょうか。私は勝手に利用してしまいましたが、良かったのかどうか。ちなみに、背後のバスは鍵屋さんです。古いバスを店舗にして、営業しています。移動はしません。
  今日は、注目のカードが目白押しです。第3試合は、46年ぶり出場の慶応(北神奈川)と、全国最多35回目の出場となる松商学園(長野)の、古豪同士の対戦。50歳以上の高校野球ファンにとっては、絶対に見たい一戦でしょう。
  この試合で注目を浴びたのは、慶応のエース・田村選手(写真右)。力道山の孫ということで各メディアにも取り上げられました。試合は、田村選手が期待どおりの好投を見せ、リリーフした只野投手が終盤の猛追を振り切って、6−4で慶応が勝利。私は北神奈川大会の決勝を見に行っていたこともあり、慶応を応援していたので、ホッとしました。この後慶応はベスト8まで勝ち進み、古豪の復活をおおいにアピールしました。なお、写真左は慶応のアルプス席。応援の迫力(声の大きさなど)は、今回見た30校の中では群を抜いていました。高校野球というより、大学野球のノリです。ちょっと松商学園が可哀想だとさえ感じました。
  今日最後の試合は、これまでの3試合に比べると個人的な興味がちょっと薄い試合でした。大府(東愛知)−高岡商(富山)の一戦です。
  愛知県も、記念大会特例で2校が選出されたわけですが、東愛知というのはあまり強豪校がないんですね。東邦・享栄・中京大中京・愛工大名電などの常連校が、全部「西愛知」に入ってしまいました。どうも、各府県内の境界線の引き方に、疑問を感じます。神奈川とか大阪は、南北それぞれにバランス良く強豪校が入っていますが、愛知と、あと兵庫も酷い。西兵庫にも東洋大姫路がありますが、これがこけてしまう(実際、今年は1回戦でこけた)と、甲子園レベルに達している学校がないわけです。それなら、わざわざ東西とかに分けずに従来どおりに大会を進め、決勝戦をやらなければいいだけだと思うのですが。
  この試合に興味が薄かったのは私だけではなかったようで、第3試合が終わると外野スタンドはガラガラに空きました。おかげで、4年目にして初めて「最上段特等席」に陣取ることができました。写真左を見ても分かるように、席の後ろにちょっとした通路があって、その後ろが壁です。あぐらをかいて、壁に寄っかかった状態で観戦できるのです。試合模様がだいぶ遠景になってしまう(写真右)のが辛いと言えば辛いけど。試合は、7回に一挙4点を取った高岡商が、5−1で勝利。
  1日だけ「シャン」に泊まりましたが、あとは普通にアルデバランを利用します。臭くて汚いですけどね、安くて立地が良いから、潰れられたら困るんです。
  翌日は、3試合しかない日程で、第3試合に出る予定の大阪桐蔭(北大阪)以外にはこれといって注目していたチームが登場しない日だったので、ちょいと甲子園はサボり、一日歩きます。
  まずは、駅そばを2軒紹介。右は、和歌山市駅南海改札内にある「南海そば」のやさい天そば(290円)。これといって特徴のない無難系駅そばですが、関西はどこで食べても美味く感じます。つゆが私の下に合っているのでしょうか。値段が安い店が多いというのも、大きな魅力です。
  右は、貝塚駅南海東口階段下「満居人」の味付ききざみうどん。そばで注文したのですが、間違ってうどんで出てきてしまいました。店員が腰の低いおばちゃんだったので、敢えて作り直してもらわず、うどんを食べてあげることに。この店では、「きざみ」の量はやや少なめなのですが、カマボコが2枚入り、ワカメが入り、揚げ玉が入り、見た目にすごく豪華な一杯になります。値段は、350円。メニューは4種類しかありません。というのも、この店はもともと居酒屋で、そば・うどんは昼時に定食ついでにやっているメニューだから。でも、それにしては美味かった。唐辛子も3種類用意しているし、なかなか細部まで気を使っているように見えました。
  この日は主に南海沿線を歩きました。その道中に出会い、思わず「あっ!」と声を上げてしまったのが、岸和田城(写真左)。住宅地の中に、いきなりあるんですね。いきなり視野の中に飛び込んでくるものだから、ビックリしてしまいます。周囲をぐるりと遊歩道が囲んでいて、お散歩にピッタリの場所です。
  右の写真も岸和田城の近くで撮ったものですが、城とは関係ありません。一般民家(とはいえ、えらく大きい家だから、有力者が住んでいるのでしょう)の庭です。松の枝(剪定)があまりにも美しかったので、シャッターを切ってしまいました。なんか、「美味そう」に見えませんか?
  忠岡駅でも、駅そばを1杯。下り改札脇「家路」の、肉そばです。肉そばって、駅そばメニューの中ではかなり値が張る部類のメニューなのですが、この店ではなんと300円で出してくれます。しかも、揚げ玉のサービスつき。麺も太めで食べ応えがあり、大満足でした。今回の旅の中では、この店がナンバーワンですね。
  ちなみに、そばうどんの他に、かき氷があります。これが各種100円〜と、また安い。店内にベタベタ貼ってある浜田省吾のジャケット写真を眺めながら、そばで腹を満たし、かき氷で暑さを凌いでみてはいかが?
  南海高石駅構内にあった、カーブミラー。ヒマワリ型をしています。この他に、リンゴ型のカーブミラーもありました。なかなか遊び心のある駅ですね。ミラーに、カメラを構えた私が写り込んでしまっているのも、遊び心のうちです(^^;
  歩き終えたあと、新今宮の通称「あいりん地区」へ。もう二度とここへは来ないぞと心に決めていたんですけどね。コインランドリーを探しているうちにここに辿り着いてしまいました。でも、あいりん地区は物価が安くてありがたい街だという見方もできます。写真は缶ジュースの自販機です。暗くてちょっと見にくいかもしれませんが、値段をよく見てください。40円で缶ジュースが買えてしまうのです。
  ただし、油断のならない街だということをお忘れなく。くれぐれも、手荷物を地べたに置いたりしないように。5秒で消えてなくなるので。
  前編の最後に、駅そばをもう1杯。天王寺駅JR改札内東口コンコース「天王寺うどん」のわかめそばです。この店も、味覚的には無難系なのですが、安さが魅力です、わかめそばは、240円。かけは200円切り(190円)。こういう値段で食べられると、私の腹はあまり減りません。なぜなら、ちょっと減ったらすぐに食べてしまうから。腹にしても何にしても、「満たされる」ってのは気分がいいものです。
  気分良くなったところで、前編はおしまい。続きは後編でお楽しみください。


戻ります。