倉庫25:’08夏の甲子園観戦ツアー(後編)

  後編は、いきなり美味そうなえび天そばから始まります。桃谷駅「麺家」。関西のJR沿線に多いチェーン店(首都圏の「あじさい茶屋」のようなもの)ですが、結構格調が高いのが特徴。ネギが斜めにカットされているため、見た目にシャープな印象を与えます。カマボコの白も良いアクセントになっていますね。天かすは無料で入れ放題。天ぷらに天かすを入れるというメタボ一直線コースになってしまいました。
  西九条で阪神西大阪線に乗り換え、甲子園へ向かいます。西九条駅は、現時点では阪神の終着駅なのですが、ごらんのとおり延伸工事が行われています。来春開通で、西九条→九条→大阪ドーム前→桜川→難波とつながり、近鉄線に乗り入れるとか。これが開通すれば、アルデバランから甲子園へのアクセスが非常に便利になります。桜川駅あたりがアルデバランの最寄りになるのかな。
  実は、今日は寝坊しました。第1試合の大阪桐蔭−日田林工戦は、すでに終わっていました。まぁ、大阪桐蔭は帰ってからテレビでなんぼでも見られる(勝ち残るということ)だろうということで。
  第2試合には、開幕直前に不名誉なことで有名になってしまった桐生第一(群馬)が登場します。相手は、金沢(石川)。事件さえなければ桐生第一を応援したいところですが、事件があって、「出場選手には無関係」ということで甲子園出場を許されて、むしろ同情票が多く集まったことに対して、軽い嫌悪感を覚えます。陣取った席はライトスタンド(桐生第一サイド)でしたが、気持ちは完全に金沢を応援していました。
  試合は、序盤こそ互角の展開だったものの、中盤以降に確実に加点した金沢が6−1で勝利。桐生第一は事件があったせいなのかどうか分かりませんが、応援団(写真左)にも元気がありませんでした。金沢サイドに回って、ちょっと可哀想だったなと気づいたのは、試合が終わってから。ベンチ前で一列に並んで「甲子園の土」を集めているシーン(写真右)を見て。これって、結構残酷ですよね。選手たちの前には、これまた一列に並ぶ報道陣。そのすぐ脇では次の試合に出るチームがキャッチボールをしています。こんなさらし者になってまで、土を持って帰りたいのかな。私だったら、スコップでひと掘り、それで終わりにしたい。
  第3試合には、昨年の準優勝校・広陵(広島)が登場します。対戦相手は、これまた名門の高知(高知)。1回戦でこの組み合わせが見られるなんて、幸せです。
  試合は、序盤に広陵が5点をリードしたものの7回までに追いつくという乱戦に。最終的には、8回に3点を挙げた広陵が8−5で勝利しました。両チームとも、応援に一癖あって楽しかったですね。広陵は大応援団を組織して人海戦術。ブラスバンドの大きな金管楽器(名称が分からない……)に「広」「陵」と書いてある(写真左)あたりが、大学的なノリだなぁと思いました。一方の高知は選曲に特徴あり。甲子園で「007のテーマ」を聞いたのは初めてだと思います。ちょっと不気味で、相手チームは背筋が寒くなるかもしれません。
  ちょっと一休み。以前に、甲子園で涼をとるためのものとして「凍った水」を紹介しましたが、水だけでなく「凍ったお茶」もありました。しかも、150円。定価で売っています。球場内ではなく、球場と甲子園駅の間にある細かい土産物店街で売られています。「球場の外」というのがミソなんですけどね、球場内で200円出して水を買うよりも、こちらの方がお得かな、と。
  第4試合は、我らが浦和学院(南埼玉)が、関東の横綱・横浜(南神奈川)に挑みます。やる前から結果は分かっているなぁと思っていたのですが、横浜のエース・土屋選手が本調子でなかった様子。9回表が終わった時点で6−4で横浜リード。浦和学院も2点差に食い下がる根性を見せました。そして9回裏。ツーベース2本で1点返し、なおもランナー2塁。あれ、もしかして浦学勝っちゃうつもりなんじゃないだろうな、と思いました。しかし、土壇場で踏ん張るのが横綱の強み。鋭い当たりが外野へ飛ぶも、「この場面で出るか!?」と言いたくなるような超ファインプレーが飛び出し、1点差で横浜が逃げ切りました。
  個人的には浦学を応援してたんですけどね、まぁ、恥ずかしくない負け方でよかったなぁというのが本音。いや、本当は恥ずかしい負け方なんですよ。バント失敗、併殺打などの拙攻続きで、ヒット数では横浜より5本も上回っているんですから。でも、点差的には恥ずかしくない展開だったということで。ちなみに、浦学の応援団は赤一色(写真左)でした。「浦和」というだけで色が決まっているような気がするのは、私だけでしょうか。
  8/8は、これまた特段「見たい試合」がないので、甲子園をサボって歩きます。この日は全部で4軒の駅そば(駅舎外も含む)で食べたのですが、写真を撮った2軒だけ紹介。
  写真左は、駒川中野「だいきち」のきつねそば。ちょっと高めで370円です。テーブル席が豊富にあって、伝票→後精算、そば・うどん以外にも定食類をたくさん扱う店ですから、厳密には「定食屋」のカテゴリに入るのですが、「早く安くそばを食べられる店」ということでいいでしょう。大阪名物の「かすうどん」(トッピングはホルモン揚げ)も扱っています。これも、いずれは食べないとなぁ。
  写真右は、大阪阿倍野橋「王冠」のきざみそば。こちらは正真正銘の駅そばです。価格も安く、270円。きざみがたっぷり乗って、おまけに天かすは入れ放題。300円以内で、結構豪華なそばを食べることができます。うどんの麺を2種類(ノーマル・細うどん)用意しているのも特徴。
  天王寺をスタートして、近鉄南大阪線に沿って歩くのですが、途中で線路を見失い、当てずっぽうで歩くことに。まぁ、最終的に目的地(富田林)に辿り着ければいいか。
  初芝駅前から富田林方面へ歩いていくと、平尾峠でちょっとした山を越えます。歩道がなくて、トラックがバンバン通るので、怖いです。おまけに、鬱蒼と茂った樹木がオーバーハング状に道路に迫り出しています。大きなトラックなどは、枝葉にバサバサぶつかりながら通っていきます。スピードを緩める気配など、まったくありません。これが大阪人気質?
  平尾峠を越えて、富田林市に入ったところに、PL(パーフェクト・リバティー)教の本部がありました。すごいですね。周囲に何もない、だだっ広い土地に、無機質感バリバリの巨大建築物。写真で見ると普通の5階建ての建物ですが、ワンフロアの高さがハンパじゃないのか、10階建てくらいの偉容があります。現在、本部ビルの右隣に、新たな建物を建てる工事が行われています。富田林が天理化する日も近い?
  富田林駅近くで見つけた看板。ダブルで「PL」です。やっぱり、富田林はPLの街だったんですね。PLといえば、日本一とも言われる花火大会が有名です。10万発打ち上げるらしいですね。一度、見に行ってみたいものです。
  富田林で歩きやめてもよかったのですが、帰りの電車賃を少しでも浮かそうと考え、北へ歩きます。そして、喜志駅前で見つけたのがこれ。聖徳太子のお墓? その隣にある石碑には、小野妹子の墓と刻まれています。そういえば、近くに「上ノ太子」なんていう駅もありますね。「太子町」なんていう自治体もありますね。調べたところ、聖徳太子の墓は喜志駅から約5kmの叡福寺にあるとのこと。喜志駅と上ノ太子駅を結ぶ金剛バスで行くことができます。「金剛バス」ってのも、なんだか怪しげな名称ですねぇ。
  近鉄長野線と南大阪線が合流する古市駅を今日のゴールと定めました。その直前で、ちょっとおぞましい池を発見。
  小さい写真だとよく分からないかもしれませんが、左の写真は、水が緑色なのではなく、水面が完全に藻で覆われている状態です。その中を鴨などが必死に泳いでいます(遠くの方に見える黒い点々のようなものがそれ)。湾岸戦争の時に「オイルまみれの海鳥」の写真や映像を見た記憶がある人も多いと思いますが、それに近い状態でした。藻がビッシリと敷き詰められているのは富栄養化によるもので、餌が豊富にあるのでしょうか、鴨たちはこんな「泳ぎにくい池」を捨てようとしないようです。
  鴨だけではありません。普段あまり見かけない青鷺も飛来していました(写真右)。こんなところで泳いでいたら飛べなくなっちゃうんじゃないかと、心配です。
  一夜明けて、再び舞台は甲子園へ。今日は寝坊せずに4試合全部観戦します。
  第1試合は、福知山成美(京都)−常葉菊川(静岡)の一戦。古くから甲子園を見てきた人々にとっては新鋭校同士の対戦ですが、ここ3〜4年詳しく見ている人にとっては、強豪校同士の対戦です。これはどちらが勝ってもベスト8か4くらいまで残るのではないか、と思っていました。応援団も、関西勢の福知山成美(写真左)が大応援団を組織するのは当然として、常葉菊川(写真右)も負けずに人数を集めてきました。
  試合は、息が詰まるような投げ合い、凌ぎ合い。ヒット数では福知山成美の方が押していましたが、常葉菊川のエース・戸狩選手が粘りのピッチングでなんとか1点に抑え、8回に虎の子の2点をもぎ取って逆転勝ちしました。わずか3安打で勝ってしまった常葉菊川。とにかく打のチームですから、打てなければ終わりなのですが、こういう試合もできるんですね。
  第2試合は佐賀商(佐賀)と倉敷商(岡山)の対戦。さほど注目しているカードではありませんでした。むしろ、個人的には両校とも早めに消えてくれないかな、と思っていました。なぜなら、佐賀商は佐賀県勢だから。昨年の佐賀北の優勝が、未だに納得できていないので。対する倉敷商は、五輪チーム監督・星野仙一の母校だから。そういう、実力以外の部分で名が売れる「21世紀枠」みたいなチームは、早めに消えてほしい。選手たちには申し訳ないけどね。
  貧打戦を絵に描いたような試合は、2−0で倉敷商の勝ち。
  試合の合間に、球場内の資料館にお邪魔します。普段どんな展示がされているのか知りませんが、夏の甲子園開催中は高校野球史に関する展示がされています。その片隅には、今大会の優勝校・準優勝校に贈られる盾(実物)が。入館無料なので、見ておいて損はありません。土産物店ほど混んでもいませんので。
   大会は昨日から2回戦に入っていて、今日の第3試合で盛岡大付(岩手)が登場し、出場55チームがすべて甲子園の土を踏みました。対するは、開幕試合で下関工に勝利した駒大岩見沢(北北海道)。
  開幕試合は自宅でテレビ観戦していましたが、駒大岩見沢の板木投手(写真左)がなかなか力のあるストレートを投げていて(球速はそれほどでもない)、ちょっと注目していました。結果的には8−3で駒大岩見沢が勝利。勝ったはいいけど、板木投手は終盤につかまりましたね。1回戦でも終盤に打ち込まれました。力はあるけど、スタミナが課題なのかな。
  終盤になると、アルプススタンドには次の試合に出る学校の応援団が入ってきます。写真右では、左側の2ブロックが次の試合に出る学校の応援団。この白・赤の色分けを見れば、「あぁ、次はあの学校が出るのね」と分かります。
  今回最後となる観戦試合は、お馴染み智弁和歌山(和歌山)と木更津総合(東千葉)の好カード。これも、2回戦で当てるのは勿体ない組み合わせです。近畿勢が出るということもあって、スタンドはかなり埋まってきました(写真左)。まだ2回戦なのに……。
  試合は、5回に集中打で3点を挙げた智弁和歌山が5−2で勝利。今大会ナンバーワンの「怪物打者」と言われていた坂口選手も2本のヒットを放ちました。写真右は、センター前ヒットを打つ瞬間の坂口選手です。智弁和歌山は常葉菊川同様に打のチーム。打てなければ終わりだから優勝は難しいかなと思いましたが、プロ野球のように140試合のリーグ戦をやればこのチームがナンバーワンかもしれません。
  ここ3年間は、いずれも1・2回戦の観戦でしたが、今回はいつにも増して1・2回戦での「強豪同士の潰し合い」が多い組み合わせだったので、とても楽しめました。来年もまた、甲子園に戻ってきます。もしかしたら、春にも来るかも! そう思いたくなるくらいに、熱く暑い日々を過ごしました。次回来るときには、甲子園球場のお色直しも終わっていることでしょう。今までとはまた違った「甲子園らしさ」を見せてくれることを、期待しています。
  帰り道。青春18きっぷで旅をしていると、行き帰りの道中にもいろいろイベントが発生するという楽しみがあります。甲子園を観戦し終わって、それで旅が終わり、とはならないのです。
  というわけで、駅そばを一杯。蒲郡「壺屋」の天ぷらそば。天ぷらの上にカマボコとネギが乗っていて、端の方に刻み揚げが乗っているので「天ぷらそば」には見えないかもしれません。これが「壺屋」ならではの特徴です。他の店だったら、ネギとカマボコを綺麗にどけてから写真を撮ったかもしれませんが、「壺屋」はこれでいい。久々の関東風つゆも新鮮で、美味かったです。
  浜松で途中下車し、少し歩きます。ローカル私鉄の遠州鉄道に沿って、北へ。その途中、遠州病院駅近くのガード下で、「誕生井戸」なるものと遭遇しました。井戸そのものは現存しません(写真は後から作ったレプリカ)が、この井戸は、徳川2代将軍秀忠公生誕の地と言われているとか。もちろん、井戸の中から生まれてきたとか、そういうオカルトじみた話ではありません。近くの屋敷で生まれ、産湯にここの井戸水が使われたと伝えられています。
  遠州鉄道、なかなか元気です。地方のローカル私鉄は不便・遅い・高いの3拍子が揃っていることが多いのですが、遠鉄は12分に1本、遅いのはしょうがないとして、運賃も安いです。初乗り100円!
  無人駅が多いのですが、切符の販売機はあります。また、チャージ式のICカード(ナイスパス)システムを取り入れていて、無人駅にも読み取り機が設置してあります。私は積志・新浜松間を乗りましたが、乗客も多いです。初乗り100円が好評なのか、1駅2駅乗る人が結構います。地方ローカル私鉄のお手本になる路線だと感じました。
  最後に1枚。沼津→東京の東海道本線は、特急仕様の車両でした。リクライニングできて、快適。どうやらこの車両が折り返し大垣夜行の「ムーンライトながら」になるようですね。大垣で夜まで遊ばせておくのもなんだし、かといって東京まで回送するのもなぁ、ということでしょうか。「間合い運用」あるいは「送り込み列車」というやつですね。通常の普通車両よりも快適性がかなり違うので、これは狙い目です。(静岡19:29→)沼津20:33→東京22:43。次回も、これに合わせて旅ダイヤを組もうかな。


戻ります。