倉庫29:多賀仙強硬漫歩ツアー

  山手外回り始発で、04:26池袋発→04:42上野着。上野で常磐線に乗り換え、水戸へ。仙台方面へ向かうには東北本線の方が早いのだが、最近あまり乗っていなかった常磐線で旅をスタートさせることにした。一年で最も昼が短い冬至の直前という時節だから、山手線乗車中はもちろんのこと、常磐線が上野を出てもまだ外は真っ暗闇。土浦を過ぎたあたりでようやく空が明るくなってきた。冬の旅は、外の景色を眺められる時間が短いぶん、夏の旅よりも予定を組むときに苦労する。
  いわき駅で、途中下車。現在いわき駅は大規模な駅舎改築工事が行われている。それに伴って、ホームに2軒あった駅そばは両方とも死滅していた。跡地に設置されたのが、ガラス張りの待合室。ホームにガラス張りの待合室がある光景って、なんだか都内の駅みたいで旅情がない。最終的にどんな駅舎が完成するのか分からないけれど、以前に比べて旅情とか、「風格」がないものになるだろうということだけは想像がつく。安っぽい「科学博物館」のような建物が出来上がるのではないだろうか。
  駅そばは死滅していたけれど、駅前をブラブラしていたら立ち食いそば店を見つけた。ギリギリのところで駅前再開発工事の波から逃れているような場所に、その店はあった。値段が安いのが最大の特徴で、写真の山菜そばは250円。かつてホームにあった駅そばよりも安いです。他に客がいないどころか、店の前の道もほとんど人通りがない(裏路地というわけではないが、とにかく人がいない。休日だからか?)のに、こんな値段設定で商売が成り立っているのかどうか。もちろん応援はしているけれど、正直「もうちょっと値段上げたら?」と言いたい。
  仙台で仙石線に乗り換える。意外にも、仙石線に乗るのがこれが初めてだ。仙台から乗って、陸前原ノ町までは地下を走る。地上に出て、多賀城で下車してみると、こんな車両だった。この1両だけではなく、全車両、さらには他の便もすべて、アニメイラストが描かれている。一昔前に津軽海峡線にを走っていた「ドラえもん列車」みたいだ。子供連れには大人気、なのだろうか。
  件の多賀城駅付近では、目下、線路の高架化工事が行われている。多賀城駅には駅そばがあり、もちろん食べてきた(写真を撮っていないので特に紹介はしない)のだが、線路の高架化に合わせて駅舎を改築なんていう話になると、駅そばの存続も怪しい。かつて長町駅(東北本線)でも同じことが起こっているだけに、なお不安だ。しかも、多賀城駅の駅そばは、かつて長町にも店を構えていた「こばやし」。嫌な符合が重なっている。
  多賀城から、少し歩きます。国道45号に出て、仙台市内へ。その道中で見かけた店で、チキンカツ100円という激安セールを行っていた。よっぽど入ろうかと思ったのだが、駅そばを食べたばかりで腹が減っていなかったので遠慮した。う〜む、それにしても安い。ちなみにこの店は「半田屋」という定食屋で、仙台市内では頻繁に見かけるチェーン店。
  福田町駅にほど近い、JR宮城野車庫。私は昔から鉄道の車庫とか操車場の類が大好き(別に詳しくはない。なんとなく眺めるだけ)。
  車庫内の片隅には、こんな洗車マシンがある。ガソリンスタンドの洗車マシンと似た原理で、いくつもの回転ブラシが取りつけられているこのマシン内を通過すると、綺麗になって出てくるという仕組み。ガソリンスタンドは洗車マシンが動くのだが、鉄道用のは車両を動かす。写真は取り損ねたが、洗車シーンも見学することができた。ものすごい水しぶきが辺りに飛び散り、間欠泉のような光景だった。
  JR仙石線に沿って歩く。苦竹・陸前原ノ町で仙石線は地下に潜る。ちょうど地下に潜り込む場所をなんとか探し当て、写真も撮れた。地下に潜ってすぐのところに、陸前原ノ町駅がある。陸前原ノ町駅は、線路は地下を走っているけれど、駅舎は地上にある。宮城野区役所のすぐそばだということもあり、なかなか大きな駅だ。
  宮城野原駅は、完全に地下鉄のような駅。地上にあるのは、出入口だけ。そのうちの1つが、東北楽天ゴールデンイーグルスのカラーに染まっていた。そう、この駅は楽天の本拠地であるクリネックススタジアム(旧フルキャストスタジアム)の最寄り駅なのだ。
  漫歩の終盤には、雪に降られた。今シーズンの、私的初雪だ。風も強く、ほとんど傘は役に立たない状態。なんとか仙台駅に逃げ込んで、暖かい駅そばに舌鼓を打つことに。2回目の実食となる、「蔵王めん茶屋」(JR在来線5&6ホーム)の「三色えびかき揚げそば」(420円)だ。「三色」とは、えびかき揚げ+ワカメ+山芋。写真では角度的に分かりにくいけど、かき揚げは厚さが3cmほどもあり、食べ応え抜群。値が張るだけのことはあった。単純に「えびかき揚げそば」にしておけば、値段的にもっとお得感があったかもしれない。
  仙台駅からもう1軒。JR在来線7&8ホームの「あじさい」にて、たぬきそば(310円)をいただきました。「あじさい」といっても、首都圏のNRE店舗とは出来が違う。美味いですね。ワカメがたっぷり入って、麺は黒々していて風味高く、つゆにも角がなかった。味覚に関係ない部分で言うと、この真っ赤な漆器もどきの丼。これを見ると「東北に来た」と実感します。最近は少なくなりましたが、かつては東北の駅そばにはこの丼を使う店が本当に多かったんです。
  帰りは東北本線で。赤羽で埼京線に乗り換え、池袋に着いたのは23:50頃でした。ほぼ20時間に及ぶ日帰りツアーは、なかなかにハードでした。日帰りで仙台まで行こうとすると、どうしてもこうなってしまいます。18きっぷで日帰りで行くなら、仙台辺りが限界でしょう。もっと先まで行けることは行けるんだけど、ただ単に往復するだけでは面白くないので。現地に4〜5時間くらい滞在するということを前提に考え、日帰りの限界は仙台と言っておくことにします。

戻ります。