倉庫30:チバラギ18K消化ツアー

  今回の旅の目的は、これといってありません。青春18きっぷを買ったはいいけど、用途を計算してみると1日分あまってしまう。その、あまった1日分を少しでも有効に利用してやろうと考え、「2300円分以上電車に乗る」と心に決めて家を出ました。
  前回の旅(倉庫29)に続いて、山手始発→常磐始発で旅が始まります。午前6時ジャスト、牛久駅に到着。ここから、土浦駅まで10kmほど歩きます。牛久駅を出ても、まだ空は濃紺です。東の空、地平線スレスレのところに、わずかに朱が射しているだけ。真冬なので、かなり寒いです。
  牛久→土浦のルートだと、国道6号を歩くのが最短なのですが、途中のひたち野うしく駅までは以前に歩いている(倉庫26)ので、今回は線路の東側の県道を歩きます。この辺りは国道6号沿いとJR常磐線の駅周辺に市街地が固まっていて、それ以外は基本的に田園地帯か荒れ地。新しくできたばかりの圏央道も、こんな田畑のど真ん中を走っています。
  ひたち野うしく駅付近には、無人式の駐車場がたくさんあります。首都圏ではロック板式の時間貸しパーキングが主流ですが、ここにはそんなハイテクはありません(少しはあります)。多くが、料金投入箱があるだけの駐車場。料金は、1日単位で、300円。さすがに安いですね。駐め方は、いたってシンプル。駐車後、300円を備え付け封筒(投入口右に掛かっている)に入れ、車番(ナンバー)を明記し、投入口に入れるだけ。ロック板がありませんので、不払いでバックレることもたやすいのでは、と思ってしまいますが、適宜料金回収と不正駐車のチェックに係員が来ているようです。300円くらい、ちゃんと払いましょうね。
  荒川沖駅近くまで来ると、こんな茅葺き屋根の家もちらほらと見かけるようになります。近くには「荒川沖の一里塚」もあり、古くから旅人たちが大勢行き交っていた様子が瞼の裏に浮かんできます。
  土浦市内では、国道6号(本線)は自動車専用道路となります。歩行者は、自動的に旧道へ。その途中、もみじヶ丘の頂上から、筑波山が望めました。あの山に登ったのはほんの2カ月前のことなのですが、なんだか懐かしいですね。山頂を終点とする「歩いて○○ツアー」を、またいつかやりたいものです。
  土浦駅付近から国道6号まで、市内を横断する高架道路があります。途中に出入口は一切なし。国道6号からこの高架道路に入ったら、強制的に土浦駅東口方面へ行かされてしまいます。市内の渋滞解消という点ではかなり有意義な道路だと思いますが、間違って入ってしまうと大変な目に。というか、上も下も交通量はさほど多くなく、果たしてこの高架道路が本当に必要なのかどうか、ちょっと考え物だと感じました。
  高架道路は自動車専用道路なのですが、部分的に歩行者が上り下りできるようになっています。なぜなら、高架道路を路線バスが走っていて、随所にバス停があるから。面白いことに、この道は車で入ると途中では降りられないのですが、歩行者はあちこちで出入りできるんですね。ただ、エレベーターなどは一切なく、階段の上り下りはあまり楽ではないです。お年寄りにとっては「酷い仕打ち」と感じるかもしれません。まぁ、下の道にもバスは走っているんですけどね。
  高架下を辿っていくと、「MALL505」というショッピングモールに入り込みました。こういう景色が現れると、「駅が近いんだな」と感じるのですが、実はこのモールは駅へは続いていません。駅から300mほど離れたところで、プッツリと終わります。要するに、あまり場所がいいとは言えないんですね。だからかどうかわかりませんが、活気はあまりありませんでした。シャッターが降りたままの店舗も目立っていました。午前中だったからかもしれませんが。
  土浦駅に到着。ここからは、電車に乗ってブラブラしつつ、駅そばを探訪することにしましょう。まずは、土浦駅2・3番ホームにある「華月庵」から攻めます。オーダーしたのは、山菜そば。写真では分かりにくいですが、このそば、丼がかなり小さいです。割り箸でも脇に置いておけばよかったな。「お子さま用か?」と思うくらい。ただ、丼の形状が口広型(すり鉢状)ではなく深鉢形なので、意外と量はあります。さほど不満に思うほどではありませんでした。刻み海苔が乗るのが、ちょっと変わっている部分ですね。
  シャッターが降りていましたが、ホームにはこんな弁当売場もあります。土浦駅、結構ローカルムードが濃いですね。東京近郊の駅にしては珍しい、手軽に旅情を味わえる駅だと思います。
  一度我孫子まで戻り、成田線に乗り換えて成田駅へ。まだ年越しまで1週間ほどあるというのに、はやくもホームには「謹賀新年」の看板が出ていました。気が早いですね。初詣で有名な成田山新勝寺に来てもらおうという算段があるのでしょうか。
  さらに電車を乗り継ぎ、銚子駅までやって来ました。この時点で、すでに乗車距離が2300円分を越えました。無事に、元を取ることができました。めでたしめでたし。しかし、この駅に駅そばがなかったのが納得いきません。主要な駅には1軒、出してもらわないと。チェーン店でも何でもいいですから、どなたか店を始めてくれないでしょうかね。
  JR銚子駅の構内、ホーム上に銚子電鉄の駅舎があります。この駅舎内駅舎というパターンは珍しいですね。銚子電鉄は過去に乗ったことがありますが、列車にも駅舎にも味があって、私はなかなか好きです。
  銚子電鉄の車両はこんな感じ。全部が全部ではありませんが、よくわからんキャラクターのペイントがほどこされています。全便(おそらく)単コロで、ワンマン運転です。営業運転距離はほんの6.4km。ローカル中のローカル路線です。経営は火の車だと思いますが、旅好きにとってはたまらない雰囲気があるので、なんとか存続してほしいですね。
  銚子駅から銚子電鉄で1駅、仲ノ町駅で降りると、目の前にどでかいヤマサ醤油の工場&本社があります。この駅、ほとんどヤマサ醤油の従業員のための駅なのではないかと思うくらい、付近一帯全域が工場になっています。千葉県は醤油の産地として有名ですが、どちらかというと野田(キッコーマンの本社&工場がある)のイメージがありました。しかし、銚子のヤマサ工場を見ると、こちらも負けてないなぁと感じます。なお、ヤマサ醤油では工場見学ツアーを実施しています(無料)。創業1645年という老舗中の老舗ですから、見学しておいて損はないでしょう。
  銚子というと、漁業の街というイメージが強いものです。確かに、駅前の目抜き通りには海産物を扱う店がズラリと並んでいて、観光客の目を楽しませてくれます。しかし一方で、ぬれ煎餅もまた銚子の名物として名を上げています。醤油の街ならではの名物と言えるでしょう。
  駅構内のコンビニ「NEW DAYS」でも、普通にぬれ煎餅を売っています。土産物としてではなく、お菓子として。どれどれ私も、と思い、一番安い130円のものを買って電車の中で食べたのですが、よく見ると製造者が「銚子電鉄」になっているではありませんか。そう、鉄道会社である銚子電鉄がぬれ煎餅を製造し、販売しているのです。鉄道営業だけでは経営が成り立たず、苦肉の策で販売を開始したという、語るも涙聞くも涙のお話です。結果的に、結構ヒットしているようです。テレビ番組で取り上げられているのも観たことがあります。かつて国鉄が直営で駅そばを営業していたように、こういうのもアリだと思いますね。
  総武本線で千葉方面へ戻り、四街道駅で途中下車。この駅に「あじさい茶屋」があるということを知っていたもので。都内で頻繁に食べているチェーン店ですから、なにもわざわざ記憶倉庫で取り上げなくてもいいのでは、と自問しましたが、銚子駅に駅そばがなかったことを悔やむあまり、食べずにいられませんでした。見るからに、愛想のないたぬきそばですね。このチェーンを嫌っているわけではない(実際、かなり食べています)のですが、このスタンスに立っていた方が何かとおいしいので、当面はこのキャラで行きます。
  最後にもう一杯。千葉から内房線で南下し、木更津駅へ。この駅には、かつてはホームに駅そばがあったと記憶していたのですが、現在は東口階段下にあります。店名は、「木更津駅そば」。細い生麺、香りづけにネギだけでなくミツバを用いるあたり、「イッツェル」と同じ業者の経営かなと感じさせます。ナルトの色合いも映えていて、全体的に洒落ていますよね。上のたぬきそばの写真と比べれば、視覚的な訴求力の差は一目瞭然でしょう。ちなみに、実食(写真のメニュー)は「とりそば」です。


戻ります。