倉庫34:春の甲子園初見参ツアー

  いきなりこんな写真からで失礼します。いつもどおり、東海道本線の始発で東京駅を出発……のつもりだったのですが、ちょいと寝坊しまして。少し遅れてのスタートになりました。おかげでと言っていいのでしょうか、熱海に到着したときには、すでにホームの駅そば「熱海そば」が店を開けていました。
  「熱海そば」はNRE店舗ですけどね、写真の「はんぺんそば」というオリジナルメニューを扱っています。右の白いのではなく(これはとろろ芋)、左の黒っぽいのが「はんぺん」です。静岡ローカルの「黒はんぺん」ですね。歯ごたえがあって、なかなか美味いです。
  近年、愛煙家にとって鉄道は本当に利用しにくい交通機関になってきました。首都圏でも、駅のホームから喫煙所が消えました。JR東海に至っては、名古屋周辺だけでなく、全エリアで全面禁煙になっています。写真は、東海道本線の中ではかなり乗降客数が少ない六合駅ですが、やはり灰皿は撤去されています。ホームには誰もいないのにね。吸っていても誰も迷惑しないのにね。
  東海道本線で旅をする場合、熱海を出たら米原までタバコを吸えません。鈍行だと、だいたい5〜6時間ですか。これはしんどいです。この事態に対応するため、最近では名古屋か大阪まで夜行バスを使うことも多くなってきました。鉄道の場合には、進行が遅れることを覚悟の上で、ホームから駅舎の出口までの距離が短そう(階段を上り下りしなくていい)な駅を選んで途中下車し、駅の外に出て吸っています。下りの場合は興津・鷲津、上りの場合は金谷あたりが喫煙下車スポットです。
  ちょっと時間があるので、岐阜から高山本線に乗り、各務ヶ原駅へ。ここから、岐阜駅まで歩いてみます。岐阜県って、イメージがファジーで、あまりピンとこないんですよね。どんな街なのか、印象を確かめてみたいなと思って。
  途中で見つけたのが、こんな名前のバス停。織田君ですね。以前に岡山県で「宮本武蔵駅」を見つけたときほどには驚きませんでしたが、こういうのは印象に残ります。人名や会社名が地名になることって、結構多い。全国を探し歩けば、まだまだ面白い地名・バス停名・駅名が見つかりそうだ。
  途中で、ちょっと遅めの昼食タイム。名鉄各務原線各務原市役所前駅近くのセルフうどん(そば有り)店「どんどん庵」で、そば+ナス天。この店はシステムが変わっているというか、本当の意味での「セルフサービス」に近いスタイルで営業している。食器の上げ下げだけでなく、麺を湯通しするのも自分、つゆを注ぐのも自分、トッピングを乗せるのも自分。すべてにおいて自分の好みに調節できるというのがポイント。人によっては面倒に感じるかもしれないけれど、麺を湯がいてつゆを注ぐのも億劫な人は、きっと食べるのも億劫なんだろうな。
  各務原市民公園では、早くも桜が満開近くまで咲いていました。東京より、1週間くらい早いですかね。
  どうでもいいことですが、「各務原市」は、「かかみがはら」と読みます。名鉄の駅名も、同様。ところが、JRの駅名は「各務ヶ原」と書き、「かがみがはら」と濁って読みます。今までずっと、私は「各務原」と書いて「かがみがはら」と濁って読むものだと思っていました。
  鉄道旅に戻ります。なんとか禁煙エリアを脱出して、新大阪へ。ホームの「杵屋」で、とりいそぎきつねそばを。右に写っているバケツのような容器には揚げ玉がたくさん入っていて、好みに応じて入れられるシステム(サービス)になっています。関西では、こういう店をまま見かけますね。きつねも大判で、なかなか私好みの店だったのですが、どうやらその後閉店してしまったようです(2009/4末)。揚げ玉を大量に入れる人が多かったのが原因だったとかなんとか。閉店に追い込まれるようなサービスなら、やらない方がいいです。
  新大阪駅在来線改札内には、もう1軒駅そばがあります。ホームではなく、コンコース。「浪花そば」です。立地が良いからでしょうか、「杵屋」よりもこちらの方が客が多いですね。
  注文したのは、「月見ちらし」というメニュー。当てずっぽうでオーダーしたのですが、出てきたのは月見+たぬき。とりわけ変わった具材が乗るわけではありませんでした。「杵屋」が閉店したとあって、この店には是非頑張ってもらいたいですね。
  初日は、阪神尼崎駅近くのサウナ「ニュープラザ」に宿泊します。いかにも「場末のサウナ!」という感じで、若干あいりん臭がします。それでも、1泊2300という低料金で、仮眠室はフルフラットの簡易ベッドタイプで安眠できます。しかも、仮眠室は意外に清潔。ヘタにマッサージやら宴会場やらが揃っている健康ランドよりも、よっぽど落ち着けます。静かだし。グレードアップしたい人は3150円で半個室のプランもあり。でも、2300円のコースでも混んでさえいなければまったく問題なし。今後、年に1〜2回は、ここを利用する機会があると思います。もちろん、2300円のコースで。
  翌朝は、阪神尼崎駅前の「都そば」できざみそばを食べてからスタートします。「都そば」、関西ではかなり多くの店舗を出しているチェーンですが、ここ数年、値段の上げ下げが激しいですね。かけそば200円が250円になり、220円に下がり。上げてみたはいいけれど、一気に客足が遠のいたから少し落とした、というところでしょうか。確かに、50円アップは上げすぎかな。25%増しですからね。残業代が25%増しにならないことが多いご時世ですから。
  味覚的には、安っぽいんですけどね。気取らないというか、落ち着かないというか、パッと食べてパッと出ていく雰囲気が嫌いではなく、結構利用しています。
  甲子園駅で電車を降りると、こんな人混みに流されて改札へ向かいます。春の甲子園は今日が開幕。おまけに、改装後の甲子園球場の初お披露目でもあるので、興味を惹かれて訪れた人が多いのでしょう。春の甲子園は、夏に比べると若干盛り上がり度が低いですから、まさかこんな状態になるとは思っていませんでした。でも、盛り上がってくれた方が、来た甲斐があるというものです。
  球場内は、全体的に綺麗になっています。中でも一番驚いたのが、この喫煙所。ガラス張りで、清潔です。ほとんどヴァージン状態ですね。なんだ、この甲子園らしくない空間は! というのが素直な感想です。まぁ、アッという間にヤニで黄色くなるのでしょうけど(^^;
  レフト側の外野席に陣取り、開会式を一部始終見守ります。とにかく入場行進が長いから、飽きるんですけどね。でも、行進曲はGReeeeNの「キセキ」で、なかなか新鮮でした。ちょっとテンポが速すぎたような気もしますが。
  おまけに、いったん外野グラウンドに集結した選手たちが、最後にホーム側へ一斉に行進するときに、頭上で爆竹がハデに鳴ったかと思うと、各校の校旗が出現するという、ちょっとイリュージョンじみた演出もありました。最近の高野連は、なかなか洒落ていますね。
  貧血を起こして倒れるんじゃないかと思えるほどの、お偉いさんたちの長い演説が終わり、選手が駆け足で退場して、開会式は無事終了。いよいよ、試合が始まります。
  写真は、文部科学大臣の始球式。ワンバウンドのとんでもないボールですが、お約束で空振りします。これって、やっぱり振らないとダメなんですかね。あるいは、打っちゃダメなんですかね。新庄あたりだったら、思いっきりかっ飛ばしそうな気もします。
  開幕戦は、倉敷工(岡山)と金光大阪の対戦。近畿勢の登場とあって、、開会式を見に来た人たちはほとんど帰りません。「これが1回戦か?」と思うほどの混雑でした。早くも、ハンドスピーカーを持った係員が「空席を詰めてください」と呼びかける状態。
  試合は、決してレベルが高いとはいいにくい内容でしたが、勝ち負けの行方は二転三転し、手に汗握る展開となりました。逆転、同点、勝ち越し、また逆転というシーソーゲームで、9回を終わって9対9。開幕戦からいきなり延長に突入です。
  12回表に金光大阪が1点を勝ち越しましたが、その裏に倉敷工が2点を挙げて逆転サヨナラ。アウェー状態だった倉敷工が勝利しました。個人的には、嬉しかったですね。地元で地の利があるチームは、あまり応援しない主義なので。
  続く第2試合は、中京大中京(愛知)−神村学園(鹿児島)の好カード。第1試合のような乱打線ではなく、レベルの高い凌ぎ合いが期待されます。そして実際、そのとおりにロースコアの展開で試合が進みました。写真は、神村学園のアルプススタンド。赤いカラーが鮮やかで、印象に残りました。
  個人的には、神村学園優位かなと思っていたのですが、終盤に中京大中京が集中打で突き放し、5−1で勝ちました。6回終了時点までは1−0の緊迫した展開だったのですが、1点返して同点に追いついた直後に集中打を浴びましたね。点を取った次の回の守りが重要だということは、プロ・アマを問わず野球界の常識。まさにその典型を見たように思いました。
  中京大中京のエース・堂林選手はいいピッチャーですね。夏にも期待が持てます。ちなみに、中京大中京は2回戦で第1試合の勝者・倉敷工と対戦。圧勝するかと思ったのですが、案外接戦でした。高校野球は予想が難しいですね。
  ちょいと小ネタを挟みます。甲子園のセンターバックスクリーン下には、名物の「赤星ラーメン」があります。いつ行っても混んでいて、まだ食べたことがないのですが。球場の改装に合わせて、リニューアルしたようです。かなり不自然な位置に、等身大パネルがありますね。
  ちなみに、近くには“アニキ”こと金本選手の等身大パネルがある「スタミナハラミ丼」の店もあります。
  第3試合には、今大会の私のイチオシ校・光星学院(青森)が登場します。相手は、強豪の今治西(愛媛)。この2校が1回戦で当たってしまうなんて、本当に勿体ない。準々決勝以上で見たかったカードです。
  光星学院を推す理由は、強力な2枚看板の投手陣を擁しているから。下沖選手と六埜選手(写真)。左右のそれぞれ本格派。春の甲子園は1人いいピッチャーがいればなんとなく勝ち抜けるという側面があるので、本当に期待しているのは夏なんですけどね。
  対する今治西も、エース大戸を中心とした守りのチーム。予想通りに、序盤からレベルの高い守り合いが展開されました。2回表に光星学院が1点を先制したものの、5回裏に今治西が同点に追いつき、1−1のまま終盤へ。
  光星学院はピッチャーを六埜選手から下沖選手にスイッチし、万全の体制で終盤を迎えた……かに思えました。しかし、9回裏、無情にも打球が野手の間を抜け、今治西のサヨナラ勝ち。期待した光星学院は、初戦で姿を消してしまいました。まぁ、もともと夏に期待していたチームですから。ぜひ、青森山田の壁を越えて、再び甲子園に戻ってきてほしいと思います。
  ちなみに今治西は、この後ベスト4くらいまで進むかなと思っていたのですが、2回戦で報徳学園(兵庫)に大敗を喫しました。繰り返しますが、高校野球は予想が難しいです。
  最後に小ネタを1つ。新しい甲子園球場には、車椅子専用席が用意されています。しかも、これが結構いい場所にある。もちろん、車椅子の人しか利用できません。立ち見スポットとしては最高の場所なので、空いているときには一般にも開放してほしいなぁ、と思う次第です。
  春の甲子園は1日3試合なので、4試合行う夏に比べて終わる時間も早いのですが、やはり陽が短いですね。第3試合は、しっかりナイターになりました。
  春の甲子園初見参となった今回は、1日だけの観戦で終わりますが、スタンドの盛り上がりは夏に負けず劣らず勇ましいものがあります。来年も、時間をとれるようなら是非観戦しに行きたいと思います。「行きたい」というよりも、「戻ってきたい」という感じですね。
  わりと早い時間に終わったので、少し歩きます。甲子園から、JR立花駅経由で阪神大物駅まで。その途中、立花駅前の「やすだ」で天ぷらそばを腹に入れます。見事なまでの「関西天ぷら」です。なぜか関西では、このような小判型をした天ぷらが多いんですね。そして具材は小エビだけ。基本的に油の塊です。しかし、このジャンクな感じが意外と癖になる。関西で10回駅そばを食べるとしたら、きざみとこの天ぷらを各3回ずつ入れたい、そんなメニューです。
  大物駅から阪神電車に乗ります。今日の宿は、定番のアルデバランと決めています。大物から難波へ行く場合、去年までなら西九条でJRに乗り換えるというパターンだったのですが、このほど阪神なんば線が開通し、乗り換えなしで行けるようになりました。これは便利!
  ただ、ちょっと運賃が高いですね。西九条から大阪難波までが、特に。JR乗り換えで行くのとほとんど変わらない運賃になってしまいます。他社線乗り入れではないのですから、もう少し安く設定してくれないと。次回以降なんば線を使うかどうか、ちょっと微妙。
  最終日は、サクッと駅そばを2軒紹介して終わりましょう。1軒目は、京橋駅ホームの「麺家」。かつて同じ場所に「駅そば京橋」があったのですが、関西の「あじさい茶屋」こと「麺家」に変わってしまいました。ただ、救いなのは、「麺家」は比較的美味いということでしょうか。天かすフリーだし。
  もう1軒は、三宮駅東口ガード下の「かぐら三ノ宮」。上の写真と比べるのはちょっと難しいかもしれませんが、こちらも実態は「麺家」ですね。首都圏でいうところの「あじさい茶屋」と「大江戸そば」の違いみたいなものでしょうか。ただ、「かぐら三ノ宮」は天かすが有料です。そのぶんと考えていいのかどうか分かりませんが、全体的に値段が安めに設定されています。平均して、「麺家」よりも30円程度安いです。天かすフリーに30円の価値があるかどうか、その辺りが評価の分かれ道になりそうですね。

戻ります。