倉庫38:’09夏の甲子園観戦ツアー(前編)

  今回の旅は、東海道線で始まります。池袋始発の山手線で東京駅へ。東海道線の始発までまだ少し時間があったので、一度改札を出て、動輪の広場にある喫煙所で一服。この喫煙所、まだあったんですね。首都圏の駅はおおむね喫煙所が撤去されてしまったので、ここは貴重なスポットです。ちなみに、東海道線で旅をする場合、東京駅を出たら、米原まで全駅構内禁煙です。ますます、愛煙家は肩身が狭くなりましたね。
  タバコが吸えないこととは関係なく、名古屋から関西本線に入り、奈良へ。JR奈良・近鉄奈良間をぶらぶらと歩きました。その道中で見つけたのが、この「手の像」。店先になんとなく飾られていて、椅子のようにも見えるからつい座りたくなるのですが、これがなんと岡本太郎の作品なのだそうで。いやいや、こんな商店街の店先にポンと飾っている場合じゃないでしょう?
  奈良は、とにかく史跡が多い街です。それも、かなり古いものが多いですね。なにしろ、来年に遷都1300年を迎える古都ですので。こちらは、近鉄奈良駅から徒歩2分ほどの街なかにある、開化天皇陵(古墳)。写真ではひっそりとした雰囲気に見えますが、この門の手前30mほどで繁華街に出ます。背後には国道369号で、車がビュンビュン走っています。この他にも、市街地内に大型古墳が点在しているので、歩いていて飽きません。
  近鉄奈良線で奈良から1駅、新大宮駅で駅そば「遊食菜館」を見つけました。関西地方ではメジャーなメニュー「こぶそば」をいただきます。とろろ昆布入りのそばですね。揚げ玉は無料サービスです。330円。とろろ昆布はかなり味の強い食材なので、このメニューを注文すると全体がとろろ昆布味になってしまいます。それを好む人と、嫌う人に分かれそうに思います。個人的には結構好きですが、麺やつゆの味が分からなくなることがあるので、初めて入る店ではあまり頼まないことにしているのですが……。今回は頼んでしまいましたね(^^;
  初日は、奈良市内に住む大学時代の先輩宅に宿泊することに。タダで泊めてもらって、シャワーまで使わせてもらったうえ、写真の焼鳥屋さんでたらふくごちそうになってしまいました。初日から、とんだ贅沢旅になったものです。Kさん、大変お世話になりました。今後また泊まりに行くことがあるかもしれませんので、その時にはよろしくお願いします。
  一夜明けて、8月10日。今日から甲子園に乗り込む予定なのですが、空模様がスッキリしません。今年の甲子園は、開幕日(8/8)は無事に3試合行われましたが、昨日は雨で中止。今日も怪しい空模様。日程がだいぶずれてしまいました。遠方の人の中には、泣かされた人もいたのではないかと思います。ましてや選手は大変だったでしょう。
  ひとまず、朝食は大和西大寺駅「二条庵」で、天玉ワカメそばを。「天玉ワカメ」は、通常は「天ぷら+玉子+ワカメ」を指しますが、この店では揚げ玉を「天玉」と呼ぶため、トッピングは揚げ玉+ワカメです。250円。安いですね。
  続いて、鶴橋駅でも一杯。近鉄改札内にある「鶴橋庵」で、山菜そばです。大和西大寺の「二条庵」と同じ業者なのでしょうか、味覚的にはよく似ていました。
  ちなみに、この店がある場所には、かつては「うどん亭」という、別の駅そば店がありました。「うどん亭」時代には揚げ玉のサービスがあったりして良かったのですが、「鶴橋庵」に変わって、若干つまらなくなった印象が否めません。「鶴橋庵」にも、モーニングサービスとか、お得なセットメニューとか、いろいろと特徴はあるんですけどね。
  大阪駅に着いた時点で、携帯で高校野球速報を検索すると、第1試合の如水館(広島)vs高知の試合は降雨ノーゲームとなったことが分かりました。どうやら、今日は甲子園に行っても意味がないようですね。旅先では、1日のムダは結構ダメージが大きい……。それならば、ムダにしなければいいわけで。雨の中ですが、少々街歩きに出かけることにしました。阪急梅田駅から阪急宝塚線に乗って、石橋駅で下車。阪急宝塚線沿線は、これまでに途中下車したことがないので、まったく未知のエリアです。少し歩いて、沿線の街のイメージを頭に入れることにしましょう。
  写真は、石橋駅前の商店街。大阪には、このようなアーケードの商店街が多く、しかも道が狭くてゴチャゴチャしている商店街が多く、私好みです。あまり人が多いと嫌になりますが、このくらいならOK。
  一駅歩いて、蛍池駅へ。駅前に「阪急そば」があったので、天そばをいただきます。実は、石橋駅にも「阪急そば」があったんですけどね、なんとなく今日はローカル店で食べたい気分だったので、パスしたんです。ところが、蛍池駅にあったのもまた「阪急そば」。もう観念しました。
  「阪急そば」の天ぷらは、いわゆる「わらじ天」ですね。関西(というか、西日本)に来たら、1回くらいはこの粗悪天ぷらを食べないと気が済まないです。粗悪だけど、駅そばにはよく合うトッピングだと思います。
  さらに、豊中駅「うどん天国」でも一杯。今日4杯目の駅そばです。旅先では、1日4〜5杯食べることも、そう珍しくはありません。とくに大阪周辺は未食店がまだまだたくさんあるので、行くたびに大量に食べて帰ってくるケースが多いです。
  天ぷらそばに見えるかもしれませんが、天ぷらの上に玉子が隠れています。全国的には「天玉」と呼ばれるメニューですが、大阪周辺では「スタミナ」と呼ぶことが多いメニュー。この店でも「スタミナ」と表記されていました。天はわらじ天ではなく、正円形。小エビが多めに入っています。
  十三駅付近にて。十三だけに、毎月13日がお買い得デー。分かりやすいですね。
  心斎橋の定宿・アルデバランに宿泊し、11日はようやく雲が切れました。ようやく、甲子園観戦が始まります。とはいえ、昨日歩きまくって疲れたのと、カプセルホテルの居心地の良さが災いし、寝坊して第1試合には間に合いませんでした。今日は、第2試合からの3試合を観戦します。
  ちなみに、写真は甲子園駅ホームから見た甲子園球場。見事なまでに、阪神高速が邪魔です。
  第2試合は、長野日大vs作新学院(栃木)。作新学院は1962年に史上初の春夏連覇を達成した古豪ですが、夏の出場は31年ぶりです。古豪復活ということで脚光を浴びるのかと思いきや、意外にもアルプスの応援席は閑散としていました(写真)。雨で2日間順延したのが響いてしまったのでしょうか。
  試合は一進一退のシーソーゲームで、決してレベルが高いとは言えないとしても、なかなか面白い展開でした。6回に4点を挙げて突き放した長野日大が、10−8で勝利。作新学院は久々の出場も初戦敗退となってしまいました。完全復活までは、まだあと一歩、といったところでしょうか。
  甲子園球場のバックスクリーン前には、ココナッツ広場というオープンカフェのようなスペースがあります。高校野球開催時には無料で開放され、飲食等に利用できます。ただし、この場所では試合を見ることができません(壁があり、物理的に見えない)。プロ野球開催時には、ここにホームランボールが入った場合には広場内の飲食物がすべてタダになるというイベントがあるのですが、これは高校野球には適用されません。
  第3試合は、天理(奈良)vs南砺福野(富山)。甲子園常連の強豪に、まったく無名の初出場校が挑みます。なんとなく、やる前から結果は分かっているような気もしますが、県立校の初出場とあって、南砺福野アルプスには大応援団が詰めかけました(写真)。作新学院のアルプスと比べれば、その違いは歴然です。なにしろ、ほぼどのメディアも予選勝ち上がりを予想していなかった学校ですからね、地元でのフィーバーも想像以上のものがあったのでしょう。
  しかし、結果は天理が一方的に攻め、南砺福野は防戦一方。15−1の大差で天理が圧勝しました。南砺福野ナインにとっては辛いだけの甲子園になったかもしれませんが、これが実力差というもの。この悔しさを今後の人生に生かしてほしいと思います。また、今の自分たちに足りない部分を補って、より強いチームを作り上げて、いつの日かまた甲子園に帰ってきてほしいと思います。
  第4試合の前に、昼食タイム。外に出るのが面倒だったので、レフトスタンド裏のカレー屋で「甲子園カレー」を買いました。球場内にしては意外と良心的で、500円です。ただし、具はほとんど入っていません。
  第4試合は、2日連続でノーゲーム試合を戦った如水館(広島)vs高知の一戦。この2チーム、かなり可哀想ですね。最初から中止と分かっていればまだしも、試合の途中でノーゲームを宣告されているのですから。調子や体調を維持するのが大変だったのではないかと思います。第4試合組み替えられたのが、せめてもの救いでしょうか。
  応援団も大変だったようで、とくに高知のアルプスは作新学院以上に寂しい有り様になってしまいました。
  一方の如水館は、比較的甲子園から近い広島県の代表ということもあり、2日延びても大応援団を組織してきました。写真の最前列に映っている男性応援団の迫力がすごく、息もピッタリ合っていたのが印象に残りました。
  しかし面白いもので、試合は9−3で高知が勝利。あまり実力差はないと思っていた対戦なので、応援の大差が影響するかなと思っていたのですが、結果は反対になりました。高知のエース・公文投手が最後まで大崩せずに落ち着いて投げられたのが勝因でしょうか。
  翌日は、甲子園おさぼりの日。本当は、この日はあまり楽しみにしていた対戦がない日だからということでおさぼりにしたのですが、2日間の順延が入ったおかげで、予定が狂いました。県予選全試合完封勝ちの酒田南(山形)、4強の一角といわれる優勝候補・中京大中京(愛知。結果的にここが優勝しました)、激戦区神奈川を制した横浜隼人などは見ておきたかったところですが、甲子園観戦以外にもいろいろと目的のある旅だったので。
  写真は、朝の道頓堀。夜の賑わいが嘘のように、静かです。外国人観光客の姿が目立ちます。
  朝食は、恵美須町駅近くの立ちそば「麺之庄つるまる」できざみそばをいただきます。この店はさぬきのセルフうどんスタイルを導入していて、関東人にはあまり馴染みのないシステムです。ベースメニューを口頭注文→受け取ったらトッピング棚から好きなものを選んで自分で乗せる→レジで支払い→お好みでサービストッピング(天かすなど)を追加、という手順です。同じシステムを採用している店でも、きざみそばの刻み揚げをセルフトッピングにしている店とベースメニューに入れている店があり、一見客はちょっと戸惑います。ちなみに、きざみそばは250円。かなり安いです。
  阪堺軌道電鉄は、いわゆる路面電車です。専用軌道を走っている部分もありますが、写真のように車と並んで道路を走っている部分もあります。大阪も、摂津地方(北部)は高規格の鉄道路線が次々に整備されて、「新しいけど無機質」な交通網になってしまいましたが、河内地方(南部)にはまだまだ昭和の臭いが残っています。このチンチン電車が恵美須町(通天閣近く)まで乗り入れているということが、意外である反面、大阪らしくて好きです。
  JR阪和線に沿って南へ歩き、長居駅と我孫子町駅の中間くらいのところでこちらのコインランドリーを発見。ちょうど着替えが尽きたところだったので、洗濯をしていくことにしました。最近、旅先でコインランドリーに入る機会が増えてきています。ほしいときになかなか見つからず、いらないときにはやたら見かける、コインランドリー。情報が少なく、事前に場所を確認しておくことができないため、旅先での洗濯は結構苦労します。誰か、コインランドリー情報まとめサイトでも作ってくれないかなぁ。
  ちなみにこちらのコインランドリー「イズミ」は、洗濯機200円、乾燥機100円。旅先ではなかなか見かけない、安いタイプです。地方のコインランドリーって、高いですからね。洗濯機300円ならまだマシ、高いところでは1000円を超えることも珍しくありません。さすがに、私は500円を超えるとパスすることにしています。
  我孫子町でJR阪和線に乗り、鳳駅へ。私のサイトに乗せていた鳳駅の駅そば「にしき」が「麺家」に変わっているという情報が寄せられたため、確認&再食に赴きました。
  果たして、旧「にしき」とまったく同じ場所に、「麺家」がありました。早速、かき揚げそばを食べます。この店、ネギを斜めにカットしているため、シャキシャキした歯ごたえが強くて好きです。ただ、この店は店内すべて喫煙席なので、結構タバコの煙が充満しています。タバコを吸う私でさえ、分煙にしてほしいと思うほどでした。
  天王寺で大阪環状線に乗り換えて、弁天町へ。こちらもまた、私がサイトに掲載していた「弁天うどん」が「麺家」に変わっているという情報を受けての再訪問です。ここでは、月見そばを実食。写真では丼の形がおかしく見えるかもしれませんが、左側の段差のように見えるのは、焼き海苔です。大きな焼き海苔が1枚、丼の側面に沿って立てかけられています。この店のポイントは、同じ「麺家」チェーンなのに、メニューによって他店とは若干値段が異なるということ。弁天町の邦画や好く設定されていることが多いです。また、エコ箸を箸置きに乗せているのも好印象です。
  今日はおさぼりのつもりだったのですが第4試合だけは見ておくことにしました。この人(写真)だけは、見逃すわけにいかないので。今大会ナンバーワンと注目されている花巻東(岩手)の菊池投手です。対戦相手は、春の甲子園決勝で花巻東を下して全国優勝した清峰を下して長崎県大会を勝ち上がった長崎日大。なんとも因縁めいたカードです。
  1回戦の中でもこのカードに関心を寄せるファンが多いようで、スタンドは超満員です。近畿勢が出るわけでもないのに、1回戦でこれだけ多くの観客がスタンドを埋める試合はなかなかありません。今大会は結構好投手が揃っているんですけどね、その中でも、春の甲子園準優勝の実績とハデなガッツポーズが知名度をグンと上げたようです。
  しかし、試合は長崎日大のペースで進みます。菊池投手は3本のホームランを浴び、8回表まで常にリードを許す苦しい展開。
  ただ、こういう苦しい展開になったのも、なんだか分かるような気がします。花巻東の外野守備が、意味もなく(というわけではないと思うけど)深すぎるんです。写真のように、ほぼフェンスに背中をくっつけるような位置で守っています。だから、芯を外したような当たりがみんなヒットになってしまいます。局面(ランナーの有無など)に関係なく深かったのですが、これにはスタンドでも疑問の声があがっていました。
  それでも、花巻東は8回裏にヒット、死球、犠打に相手のエラーが重なって一気に4点を挙げ、8−5で逆転勝利しました。菊池投手にとっては苦しい苦しい初戦となりました。スタンドからは「菊池、たいしたことねえじゃん」「ピッチャー交替しろ!」などとヤジが飛んでいましたが、私はナイン全員で勝ち取った価値ある勝利だと思います。この後、花巻東は菊池投手一人に頼るのではなく、全員野球でベスト4まで勝ち進みました。菊池投手の、プロ野球での活躍を期待したいと思います。
  というところで前編は終わりになるのですが、最後に一杯、立花駅南口の「都そば」から、鴨そばを紹介しておきましょう。「都そば」は関西を代表する「ジャンクそばチェーン」だと思っているのですが、結構凝ったメニューも用意しています。鴨そばもその一つ。鴨肉が入るだけで、いかにもジャンクな「都」のつゆが、別物に生まれ変わります。鴨肉は、そばつゆとの相性が抜群ですね。390円と値は張りますが、試してみる価値アリです。


戻ります。