倉庫39:グッバイ「グラン・マ」七回忌ツアー

  2003年に他界した私の祖母の七回忌が営まれるため、家族総出で四国・宇和島へ。しかし、諸般の事情があって兄一家、弟、私と両親と3台が別行動で四国入りすることになった。巷ではシルバーウィークなどと呼ばれている9月の5連休。ETC1000円の恩恵を受けようとする行楽客が多く繰り出し、大阪付近ではこっぴどい渋滞につかまった。まぁ、大阪近くまで順調に来られただけでもよかった方だとは思うが、高速道路はこれが怖い。渋滞すると、逃げ場がない。写真は、中国道の西宮名塩SA。駐車場は満車、トイレも満員だったことは言うまでもない。
  西宮名塩SAから吉備SAまでは、父が運転。私は束の間の仮眠タイム。ドライバーが2人いると、これができるから楽だ。渋滞は西宮名塩を出てほどなく解消し、気分良く瀬戸大橋を渡る。
  ほぼ予定どおり、夕方に宇和島着。両親をホテルに送り届け、私は車中泊の旅に出る。ホテル代の節約ということもあるが、それ以上に、せっかく宇和島まで来たのだから、温泉・道の駅など、探訪できる部分を探訪しておこうという腹だ。
  入浴は、愛南町の「山出憩いの里温泉」で。入浴料が安い施設を探していてたまたま見つけたのだが、ここでとんでもないサプライズが! なんと、東京から別行動で四国入りしていた兄一家にばったりと鉢合わせてしまった。この施設には貸しバンガローがあり、宿泊することができる。兄一家はここで夜を明かすのだとか。私は、単純に立ち寄り入浴。小さな施設だったけど、強く思い出に残るワンシーンとなったのだった。
  入浴後、土佐くろしお鉄道沿線の駅をちょっと探訪し、松野町の道の駅「虹の森公園まつの」で車中泊。翌朝一番で宇和島に戻る。写真は、宇和島駅前に静態保存されているSL。南国風景とSL、ミスマッチのようで意外にいい絵にもなっている。ただ、宇和島駅の駅ビルはどうも好きになれない。終着駅の旅情、がまるでない。
  ホテルで両親を拾い、母方の実家で兄一家、弟も合流。本懐を遂げるべく、母方の先祖代々の墓がある選仏寺へ。写真は、そのアクセス道路。車1台通るのがやっとの、狭い道。しかも、車はこの先でUターンする場所がないので、バックでひたすら下っていかなければならない。右手は石垣、左手には沢(この写真は帰路に撮っているので、往路だと左右が逆になる)。木陰がたくさんあって、なんだかホッとする風景。ランニングシャツにデニムの短パンで駆け回っていたガキの時代を、蝉の声の中に思い出してしまう。
  お寺でお経を上げていただき、墓前で手を合わせて、七回忌の法要は恙なく終了。
  こちらが、母方の先祖代々の墓。「上田」となっているのは、母方の姓だから。基礎の部分は新しい感じだけど、一番上に乗っている墓石はかなり古い。年代も見てきたのだが、残念ながらいつのものだったかは忘れてしまった。ちなみに、選仏寺の墓地には古い墓がたくさんあって、江戸時代のものも珍しくない。なかなか歴史のある寺であり、墓地なのだ。
  
  市内の料亭で昼食会を開いた後、散会。我が鈴木家も3台の車に分乗し、宇和島を去った。この日は、両親がどうしても道後温泉に泊まりたいということで、昨日同様に道後温泉の旅館に両親を送り届け、私は車中泊の旅に。
  翌朝、道後温泉の駐車場に車を停め、少し温泉街でも歩いてみようかと車を降りると、すぐ眼下に道後温泉本館があった。駐車場、いい場所にありますなぁ。
  上の写真ではあまり人がいないように見るかもしれないが、正面に回るとこのとおり。時刻、午前7時。この時間で、すでにこの大名行列。こりゃ、ゆっくりのんびりババンババンバンバンとはいかないね。
  ちなみに、本館から歩いて3分ほどのところに、姉妹施設の「椿の湯」がある。のんびりしたいなら、こちらの方がオススメ。
  伊予鉄道市内線の、道後温泉駅。レトロで、なかなか風格を感じる建物だ。路面電車の駅にしては立派すぎるくらいだろう。
  駅のすぐ脇に、坊ちゃん列車が。あまり目立たないところにあるので見物客は少ないが、これはなかなか趣があって面白い。もちろん、坊ちゃん列車は伊予鉄道市内線として現役で走っているので、運がよければ(あるいは、狙えば)乗車することもできる。
  松山市内を少し散策。写真は、伊予鉄道市内線大手町駅付近。この写真だとちょっと分かりにくいのだが、この場所は鉄道ファンなら誰でも知っている、有名な場所だ。なぜなら、2本の線路が垂直交差しているから。合流・分岐ではなく、完全に交差している。ビルの2階か3階くらいから撮ると非常に分かりやすいのだが……。
  南堀端駅近くでは、坊ちゃん列車が走っているシーンも見ることができた。満員ですな。ギュウギュウですな。たしかに、乗って面白いという部分もあるかもしれないけど、これではいい見せ物だ。もうちょっと空いていれば、私も乗ってみようかと思うところだったが、これでは到底乗ろうという気は起こらなかった。乗りたいのであれば、たくさんの鉄道小僧の被写体になってしまうということをお忘れなく。
  市内をぐるりと回って道後温泉街に戻ってくると、ハイカラ通りにもようやく活気が出始めていた。朝イチで通ったときには、シャッター通りに閑古鳥が鳴いていたのだが。観光地ってのは、基本的に朝が遅い。10時ギリギリまで宿でゴロゴロしていた人たちが繰り出す時間になって、ようやく店がシャッターを上げる。一番活気があるのは、夕方かもしれない。
  両親を拾い、あとは東京へ帰るだけ……なのだが、道中のイベントも少々紹介しながら。まずは、新居浜駅の駅そば「かけはし」で、肉そばを。私に運転させるからには、両親にも駅そば巡りに付き合っていただきます。
  この店は、美味いけどちょっと高い。父が注文したかき揚げが特に美味そうだった。というか、一口かじらせていただいたのだが、大ぶりのえびがたっぷり入っていて、本当に美味かった。西日本では指折り級の良質かき揚げだ。
  続いて、本山駅「駅のうどんや」で、きつねうどん+天ぷら盛り合わせを。両親はまだ腹が減っていないとのことで、私一人だけいただきます。この店、手打ちなんですね。厨房内に、手打ち台があります。トントントンと、リズミカルに包丁がまな板を叩く音が聞こえてきます。手間暇かけた手打ちうどんですが、きつねうどんは330円という安さ。利益、出るんでしょうかね。天ぷらも安く、一皿全部で90円です。
  さぬき豊中ICで高速に乗ったのですが、ここから先は神戸までひたすら渋滞。下に降りた方が早いと判断し、山間のよく知らない県道で鳴門へ。大鳴門橋だけ高速で渡って、すぐにまた下道へ。淡路島島内は空いている西岸を北上し、島の最北端に近い「美湯・松帆の郷」で温泉入浴。露天風呂から眺める明石海峡大橋が最高だったのですが、とにかく人が多くて辟易。明石海峡大橋も、渡るのに1時間。垂水で降り、茨木まで下道。結局、ETC1000円の恩恵をフルには受けられない形になってしまいました。
  茨木から先はスイスイかっとび。夜を徹して走り続け、朝、諏訪湖SAで父と運転交替。その際に朝食を摂ったのだが、たぶんたいした味ではなかったであろうSAのラーメンが、徹夜明けの疲れた体にすごく美味く感じた。疲れたときには、塩分が心地いい。それを実感したひとときだった。
  ドタバタの旅ではあったが、家族が全員揃うのがかなり久しぶりのことだったので、大変有意義なシルバーウィークを過ごすことができたと思う。この次に一家全員が顔を揃えるのは、果たしていつになるのだろうか……。


戻ります。