倉庫43:’10夏の甲子園観戦ツアー

  今回の旅は、改装工事中の東京駅からスタート。リニューアル後の赤レンガ駅舎を、早く見てみたいものです。イルミネーションの演出などもあるようなので。
  ここから、東海道本線で一路西へ。今回は時刻表を携行しないで出てきたので、若干の不安はありますが、まぁ慣れたルートなのでね。
  富士川駅で途中下車。コンビニに寄って朝食タイム。コンビニにも、結構ご当地性があるものです。数あるおにぎりの中から、静岡らしい2品をチョイスしました。
  朝食を確保するだけだったら、もっと大きな駅のエキナカで済むんですけどね、私の場合、タバコを吸いたいという事情もあります。現在、東海道本線の駅構内は、東京から相生まで、全面禁煙。吸いたくなったら、駅から出るしかありません。肩身の狭い時代になったものです。
  島田駅構内にて。いろいろと物議をかもした静岡空港は、このあたりにあるんですね。
  岡崎で下車し、少し街歩きをします。こちらは、名鉄東岡崎駅の駅そば「かどや」の看板メニュー「五万石そば」。特別なトッピングが乗るわけではないのですが、いろいろな食材を楽しめて、見た目にも賑やかでいいですね。
  この日は、ちょうど矢作川花火大会の開催日でした。まだまだ日暮れまでたっぷり時間がありますが、警備・交通整理はすでに始まっていました。観客の場所取り合戦もヒートアップしていて、川原はすでにブルーシートで埋め尽くされていました。
  ついでに、岡崎城を見ていきます。さほど大きな城ではないんですけどね、天守閣に上がって、最上階から市内を一望。山城ではないので、眺めは「壮観」というにはちょっと足りないくらいですが、川面を伝って吹き上がってくる風が心地よく、少々長居をしてしまいました。
  もうひとつ、岡崎といえばこれ! 八丁味噌です。市内、特に愛知環状鉄道の中岡崎駅付近には八丁味噌の蔵元がたくさんあり、工場見学を受け入れているところもあります。
  私も八丁味噌が大好きですので、工場見学をしようかとも思ったのですが、時間の都合で割愛。帰りがけだったら味噌のひとつでも買って帰ったかもしれませんが、荷物が重くなるのが嫌なので、これまた割愛。またいずれ、この街を訪れることもあるでしょう。
  心斎橋のカプセルホテル「アルデバラン」に宿泊し、迎えた2日目。今日から、甲子園観戦が始まります。しかし、朝イチで甲子園に乗り込むことはせず、まずは大阪市内の散策から始めます。駅そば探訪も、ある程度はやっておかないと。
  写真は、JR玉造駅「麺倶楽部」の、「かけそば+ちくわ天」。この店はセルフトッピング式のスタイル。見た目のインパクトがあり、値段も安い(80円)ちくわ天をチョイスしました。天かすは無料です。
  続いて、近鉄布施駅近くの「都そば」で、かき揚げそばを。食べ慣れたチェーン店ですのでね、これといって味がどうのということはないのですが、まぁ、写真があるので、一応。
  いよいよ甲子園へ移動します。阪神なんば線が開通して、ミナミ方面のアクセスはたいへん便利になりました。うまくいけば、奈良からでも乗り換えなしで行くことができます。
  大阪街歩きをしたのは大失敗でした。というか、もう少し早く切りあげるべきでした。楽しみにしていた宇和島東(愛媛)の試合が、ちょうど終わったところ……。しかも、わずか3安打の完封負け。上甲監督が指揮していた頃の面影は、もはや感じられません。久々に甲子園に進出してきたこと自体、大健闘だと思いますけどね。
  次の試合まで少々時間があったので、例によって駅前のダイエーへ食料の買い出しに行きます。すると、店頭で西浦達雄とかいうシンガーソングライターのミニライブが行われていました。ごめんなさい、私、西浦さんを知りません。でも、少なくともこの場所では結構な知名度があるようで、集まった観客もノリノリでした。熱血スポ根系ですね。若干昭和の臭いがするメロディではありましたが、私もこういうのは嫌いではありません。
  満を持して、第3試合に臨みます。最初の観戦カードは、一関学院(岩手)と遊学館(石川)の顔合わせ。遊学館の方が戦力的には上かなという印象がありましたが、東北勢も近年はだいぶ力をつけてきていますから、侮れません。
  しかし、結果は遊学館が11−0の大差で勝利。一関学院は攻守に粗さが目立ち、浮き足だったままリードを広げられた形になってしまいました。
  写真は、勝利に歓喜する遊学館アルプス。
  第4試合は、佐野日大(栃木)vs関東一(東東京)の、関東勢対決。どちらも甲子園の常連校ですが、私個人としては生で見るのは初めての高校です。写真は、佐野日大アルプス。ピンク基調の色合いが鮮やかですね。夏というよりも春の装いですが。
  夕方になると、甲子園球場内には鳩がたくさんやってきます。目当てはもちろん、観客の食べ残し。確かに、夕方になって観客数が減ってきた外野スタンドは、鳩にとっては絶好の草刈り場です。低空飛行で目の前をサッと飛んでいくので、結構びっくりします。人様を威嚇しているんじゃないか、と思えるほどの傍若無人ぶり。フン被害も多発するようなので、頭上には常に注意しておきましょう。
  試合は、序盤から優位に進めた関東一が9−2で逃げ切り勝ち。2回戦に駒を進めました。この後、関東一はベスト8まで勝ち進みます。なかなか総合力の高いチームだったんですね。
  一夜明けて、甲子園観戦2日目。今日は朝から野球三昧です。第1試合に、中京大中京(愛知)vs南陽工(山口)という好カードが組まれていましたので、頑張って早起きしました。
  この試合の注目ポイントは、両校のエース。中京大中京の森本選手と、南陽工の岩本投手、どちらも持ち味を発揮してロースコアの投手戦に。
  結果的には、得点が入ったのは両チームとも7回だけで、2−1で中京大中京が勝利しました。でも、ほとんど実力差はなかったと思います。息を呑む試合展開で、1回戦には勿体ないほどのナイスゲームだったと思います。
  小ネタを1つ。球場内にあるスナック系の売店は、年を経るごとにどんどん「B級グルメ博覧会」化してきているように感じます。各地のご当地B級グルメを扱う店がたくさんあるんですね。全国から観客がやってくるということで、球場内売店がこの上ないアンテナショップになるという理屈は理解できるんですけどね、ちょっと加熱しすぎな気も。
  写真は、行田(埼玉県)名物の「ゼリーフライ」。まぁ、平たく言えばおからコロッケですね。ちょっとモサモサしていますが、味覚的には馴染みやすいです。
  さぁ、第2試合です。3塁側アルプススタンドを超満員にするほどの大応援団を引き連れてきたのは、早稲田実(西東京)。甲子園から比較的近い倉敷商(岡山)との対戦だったのですが、応援では早実が圧倒していました。大学系の学校は、応援も大学野球っぽいノリですね。六大学野球を観戦に来ているかのような気分になりました。
  試合は、小技を絡めて少ない機会を的確に得点に結びつけた早実が、2−0で勝利。早実のエース・鈴木投手は、球威こそあまりないもののコーナーを丁寧に突くピッチングで、3安打完封。派手さはないものの玄人好みなゲームだったと思います。
  試合後、突然雨が降り出し、第3試合は開始が遅れました。雨が降ると、グラウンド整備も大変です。多くの人手を割いて整備が行われますが、晴れているときにはこの人たちは何をしているのだろう? と、ちょっと思ったり思わなかったり。
  なんとか北照(南北海道)vs長崎日大の第3試合が始まりましたが、4回裏、長崎日大の攻撃中にまたしてもゲリラ豪雨となり、試合中断。今度の雨はちょっと長く降り続き、内野グラウンドを大シートで覆っての対策となりました。
  1時間を超える中断の後、ようやく試合再開。内野グラウンドを覆っていた大シートの撤収作業を一部始終見学していましたが、これはなかなかに大変な作業です。
  まず、1塁側から3塁側方面へシートをめくっていき、シート上に溜まった水を全部3塁側のファウルグラウンドに流します。
  次に、グルグルと回転させる形でシートを引っぱり、いったんバックネット側に移動させます。
  さらに、今度は外野(レフト側)に引っぱって運んでいきます。
  シートをたたむ作業は、外野で行います。
  ホイッスルの号令に合わせて、少しずつ折り畳んでいきます。
  最後は、ラバー製の芯に巻き付けて、撤収完了。
  ところがこの後、シートを乗せた台車が壊れて完全撤収できないという不測の事態に見舞われます(写真はありません)。結局、3塁側ファウルグラウンドにシートを放置したまま試合が再開されることに。前代未聞の珍事ですね。
  試合は、北照のエース兼4番・又野選手(写真)の活躍に期待していたのですが、長崎日大の各打者が鋭い振りで攻略、効果的な2本塁打もあって、4−2で勝利しました。
  昨年、大会屈指の左腕といわれた花巻東(岩手)の菊池投手も、長崎日大戦では3本塁打を浴びました。どうも、長崎日大は好投手キラーのようですね。北照の又野選手も本塁打を放ち、素質の高さを見せてくれました。試合結果としては残念でしたが、いいシーンをたくさん見られた試合だったと思います。
  第4試合は、旭川実(北北海道)vs佐賀学園。第3試合に続いて、北海道勢と九州勢の対戦です。写真は1塁側、旭川実のアルプスですが、ちょっと寂しいですね。こういうシーンひとつを見ても、やっぱり北海道とか、甲子園から遠く離れた地域の高校は不利なのかな、という印象を受けます。
  前の試合が雨で1時間ほど中断したこともあり、第4試合は20:30頃まで続きました。今日は朝イチ(8:00頃)からずっと甲子園にいましたから、12時間以上滞在していたことになります。いやはや、いったい何がそこまで私を突き動かすのでしょうかね。
  ちなみに、第4試合の結果は5−1で佐賀学園の勝利。第3試合に続いて、九州勢が北海道勢を破りました。
  明くる日も第1試合から観戦します。その前にちょいと駅そば巡りなんぞもやっているのですが、写真がないので割愛。
  甲子園球場に着くと、いきなり1塁側アルプス入場口に「赤の大応援団」が屯していました。どうやら、第2試合に登場するいなべ総合(三重)の応援団。これはすごいことになりそうな予感……。これほどの人数の応援団がアルプス前で入場待ちをしているのを見たのは初めてかも。
  本日の第1試合は、砺波工(富山)と報徳学園(兵庫)の対戦。前評判は圧倒的に「報徳有利」だったのですが、砺波工が善戦し、最終回には一打逆転というところまでもつれました。しかし、要所を押さえるのが百戦錬磨の報徳の強さでしょうか。3−2で報徳学園が辛くも逃げ切りました。
  写真は、砺波工の応援アルプス。ちょっと角度が悪いのですが、おそらく砺波名産の「チューリップ」を描き出しているのだと思います。人文字ならぬ、「人絵」ですね。なかなか素敵だと思います。
  さぁ、第2試合。赤の大応援団がアルプスを埋め尽くしました。これは壮観です。普通、大応援団といっても、カラーまで統一されることはあまりないのですが、いなべ総合の応援団は隅から隅まで赤で統一されていました。
  対戦相手の福井商も、なかなかの大応援団を擁してきました。どちらも、比較的甲子園から近い県ですからね、応援団も組織しやすいのかもしれません。
  個人的には、フレッシュないなべ総合を応援していたのですが、やっぱり甲子園慣れしていないせいでしょうか、守りのミスなどが目立ち、6−0で福井商が勝利しました。
  続く第3試合には、我らが埼玉代表・本庄一が登場します。でも、正直、本庄一は地区予選の段階でまったく優勝候補に挙げられていなかった学校なので、「う〜ん、どうなのかな」という感じでした。しかも、対戦相手は明徳義塾(高知)。名前負けしなければいいけど……。
  結果は、ご覧のとおり。2点を先制しながら、すぐに本塁打で点を返され、後はもうボロボロ。中盤まで頑張って、終盤で一気にひっくり返されるという、埼玉のチームにありがちな負け方になってしまいました。ちょっと後味が悪い。
  第4試合には、今年のセンバツで全国制覇を成し遂げた興南(沖縄)が登場。左腕エースの島袋投手(写真)に注目が集まりました。対戦相手は、鳴門(徳島)。あまり甲子園慣れしていないチームですからね、看板に負けないでほしいなと思いたいところですが。
  今大会一の注目エース&注目校が登場ということで、1回戦だというのに外野スタンドもかなり埋まりました。観客整理が行われるほどではありませんでしたが。やっぱり、注目している人が多いんですね。島袋投手だけでなく、各打者の振りもものすごいし、全体が要注目のチームです。
  結果は、やっぱり興南の横綱相撲。9−0で鳴門を圧倒しました。この後、興南は頂点まで駆け上がります。個人の能力も高いですが、それ以上にチームとしてのまとまりが強く感じられました。今にして思えば、優勝するのはこのチーム以外にはありえない、と言ってもいいほど、チーム力は飛び抜けていたと思います。
  球場内の売店にて。先ほどの「行田ゼリーフライ」だけではなく、全国各地のB級グルメが勢揃い。この他にも、浜松餃子なんてのもありましたね。餃子と言えば宇都宮と相場が決まっているのですが、浜松の餃子はどんな特徴があるのでしょうか。ヒートアップしすぎで興醒めな部分もありますが、やっぱり試してみたい気も。来年のお楽しみですね。
  最終日。この日は観戦する予定はなかったのですが、たまたま早く起きられたので、第1試合だけ見ていくことにしました。対戦カードは、延岡学園(宮崎)vs大分工。九州勢同士の対決です。
  写真は3塁側、大分工の応援アルプス。見事な人文字です。ただ、パッと見ると「だいこう」ではなく「だいく」と読めてしまいますね。
  本来、この日は観戦予定はなく、ただ帰るだけのつもりだったのですが、大分工のエース・田中選手(写真)を見ておきたかったという面がありまして。もしかしたら、田中選手は今大会の隠れたナンバーワン投手かなと思っていた部分がありましたので。
  しかし、延長戦の末、大分工は4−5でサヨナラ負けを喫してしまいました。
  帰途につく前に、球場外で無料シャッターサービスを利用しました。開会式で使ったプラカードを持って、写真を撮ってもらえます(カメラは持ち込みで、無料)。私は、惜しくも試合を観戦できなかった宇和島東のプラカードを借りて撮ってもらいました。なかなかいいサービスですよね。西宮市の観光協会が運営しているサービスのようです。
  今年は、全部で11試合を観戦しました。本当は1週間くらい滞在して、20試合ほど見たいと思っていたのですが、生命維持のために仕事もしないといけないので……。ま、来年も再来年も、少なくとも今年くらいのレベルでは観戦しに来たいと思っています。今度ここに来るときには、少しはツタも成長して、往年の甲子園の佇まいに近づいているでしょうか。そのあたりも楽しみにしつつ、今年の観戦ツアーを終えることにしましょう。


戻ります。