倉庫46:ナニワともあれ鉄記デビューツアー

  今回の旅は、東京駅からスタート。夜勤明けに、都営三田線で大手町まで行き、徒歩で東京駅へ。最近の小さな旅は、このパターンが多い。夜勤が朝5時に終わるので、夜勤明け直行だと青春18きっぷ等を使いやすいので。
  もっとも、今回の旅は青春18きっぷではありませんが。似て非なる切符で、毎年10月に発売される「鉄道の日記念きっぷ」を使います。3日間有効で、9180円。青春18よりもだいぶ割高ですが、やはり「のんびりでもいい派」にはありがたい切符です。実は私、この切符を使うのは初めて。どんな旅になりますやら。
  写真は、東京駅構内で開催されていた駅ビル改築にまつわる資料展示。
  朝食は、静岡駅で。既食店ですが、ホームの「富士見そば」でかき揚げそばをいただきます。今回の旅は、とにかく「食」がメインになるということは間違いありません。これから飽きるほど駅そばの写真が出てきますので、覚悟のほどを(笑)
  続いては、浜松駅「自笑亭」のかき揚げそば。こちらも、既食店です。上記の静岡駅もそうですが、関東風の色の濃いつゆに青ネギというコンビネーションが、静岡県らしい部分です。
  一気に関西圏に入りまして、こちらは高槻市駅「都そば」の天ぷらそば。JR高槻駅から京阪の高槻市駅までは徒歩10分ほどなので、雨が降る中ではありましたが足を伸ばしてみました。私鉄駅の探訪も、どんどん進めていかないと。
  ちなみに、「都そば」には「天ぷら」とは別に「かき揚げ」があります。下の写真が「かき揚げ」なので、見比べてみると内容の違いが分かるでしょうか。
  というわけで、こちらは阪急伊丹駅「都そば」のかき揚げそば。「天ぷら」は具ナシの既製品、「かき揚げ」は具だくさん。こういう違いです。ただ、「かき揚げ」も揚げたてというわけではなく、関東で食べ慣れている私にとってはちょっとイマイチなもの。それだったら、関西らしい具ナシの「天ぷら」の方がいいかなぁ、という気もします。
  放出から久宝寺まで、おおさか東線に乗車。もともと貨物専用線だったのですが、一昨年に旅客営業を開始。今後は、放出から北方面、新大阪まで繋がるらしく、そうすれば東海道線と大和路線・片町線の相互往来が便利になるかなと思います。
  放出・久宝寺間にはいくつかの駅が新設されていますが、いずれも開発半ばで、駅構内や周辺には何もない、というつまらない(失礼)駅ばかりです。
  大阪の定宿・アルデバランで一夜明かして、翌日は朝から和歌山へ。JR和歌山駅、建物は立派なのですが、人が少なくて寂しいですね。ちょっと裏に入って商店街を歩いてみると、完全にシャッター通りになっています。どうやら、街の中心地としての機能は、完全に和歌山市駅に奪われてしまっているようです。JR駅の方が華やいで見えるのは、一部の大都市中心部の駅だけ。全国的には、私鉄優位・JR劣勢。採算の合う場所にだけ線路を敷いている私鉄の方が、圧倒的優位なんですね。こうなってくると、国鉄民営化は本当に正しかったのかなと、疑問に思えてきます。
  それでも、和歌山駅ホームの2軒の駅そばはまだ頑張っていました。今回は、駅弁業者「水了軒」の店舗で「あげそば」をいただきます。「きつね」と表記しないのは、この辺りではイメージ的に「そば」に繋がりにくいためでしょうか。
  麺はブニブニと柔らかくてイマイチでしたが、清涼感のあるつゆはたいへん美味しく感じました。
  ちなみにこの店では、ご当地ラーメンの草分けとも言える「和歌山ラーメン」も扱っています。次回訪れたときには、是非試してみたいと思います。その時までこの店が存続してくれることを、本気で祈っています。
  阪和線で北上して、関西空港へ。JRに限ったことではなく、空港に乗り入れている路線は、運賃が非常に高いという傾向があります。だからこそ、フリータイプの切符を持っているときに探訪すべきなのです。
  しかし残念ながら、この駅には駅そばはありませんでした。駅構内だけでなく、空港ターミナルビル内にも類似店はありません。
  関西空港では目下、第二期工事の真っ最中。滑走路の新設工事が着々と進められています。現在、入館無料の展望室があり、そこから建設中の滑走路を眺めることができます。また、参加無料の建設現場見学バスツアーも組まれています(要予約)。当日予約で参加しようかとも思ったのですが、次のツアー出発までまだだいぶ時間があったので、パス。
  空港ターミナル内でそばにありつけなかったので、腹いせにあなご天丼を。売り文句どおりに「丼からはみ出す天ぷら」なのですが、サンプルではもっと派手にはみ出していたような……。空港グルメに大きな期待を寄せる方が間違いなのかもしれませんが、いい値段だっただけにちょっと残念。
  特に、ご飯が少なくて、天ぷらばかり食べて胸が焼けました。この店では、残ったご飯に出汁汁をかけてお茶漬けにできるサービスがあるのですが、ご飯が足りないくらいなので……。お茶漬け用の出汁汁はたいへん美味しかったんですけどね。
  阪和線でさらに北上、百舌鳥駅で降ります。この辺りは古墳がたくさんあるところで、日本最大の古墳・仁徳天皇陵も駅から徒歩圏内にあります。
  どうやら、この辺りの古墳群が世界遺産の候補に上がっているようですね。
  こちらが、仁徳天皇陵。残念ながら、一般人は入れません。唯一お堀の中まで入れるのが、この正面口の部分。鳥居の手前まで入っていくことができます。
  仁徳天皇陵は、上空から見ると綺麗な前方後円墳なのですが、大きすぎるだけに、地平から見てもその形状は実感できません。
  仁徳天皇陵の周囲をぐるりと、遊歩道が巡らされてあります。写真は裏手、三国ヶ丘駅近くからの風景。堀を挟んで、右側が古墳部分です。鬱蒼としていて、いかにも「人を寄せつけない」という雰囲気。もし世界遺産に登録されたら、無理をしてでも上陸を試みる輩が絶えなくなるんだろうなぁ。その意味では、世界遺産なんかにならない方がいいのかもしれません。
  百舌鳥駅から、最終的に地下鉄の喜連瓜破駅まで歩きました。もちろん、駅探訪をしながら歩いたのですが、駅そばを発見できたのは終着の喜連瓜破駅だけ。阪神高速の高架下で営業している「瓜破うどんや」で、「あぶらかすそば」を注文。
  あぶらかすとは、牛のホルモンをカリカリになるまで揚げたもの。外側はカリッと、内側は脂身でフニュッとしていて、不思議な食感です。それ以前に、かなり獣臭いです。ダメな人は、徹底的にダメでしょう。一応、河内名物(こう言うと、一部の大阪人は怒るらしいですが)。個人的には嫌いな味覚ではありませんが、ちょっと値段が高いのが辛いですね。
  大阪を離れる前に、もう一杯。JR大阪環状線天満駅からほど近い天神橋筋商店街内の「大一そば」で、天ぷらそばを。出ましたねぇ、関西名物の「水滴型天ぷら」。もちろん、具は小エビのみです。これを食べると、「大阪に来たんだなぁ!」と実感します。天ぷら自体は決して美味いものではないんですが、そばに乗せると結構美味く感じるものです。つゆとの相性がいいんでしょうね。普段たぬきそばを食べ慣れている私にとっては、具が小エビしか入っていないという点にも、さほど抵抗を感じません。
  大阪を離れ、この日は名神高速多賀SA内の「レストイン多賀」に宿泊します。高速SAながら、一般道からでも入れる造りになっていて、しかも仮眠室付き銭湯があるという素晴らしいSAなのです。
  しかし、何やら様子がおかしい。かつて軽食コーナーや売店があった部分が閉鎖されています。もしや、レストイン多賀も閉鎖かと思いましたが、大丈夫、営業していました(写真一番右の灯りがついている部分)。
  多賀SAは、「Expasa多賀」として、生まれ変わろうとしています。すでにガラス張りの綺麗なフードコートが完成・営業を開始しています。でも、店内を覗くと、東京でも見たことがあるような店ばかりが入店していて、あまり面白味がありません。旧軽食コーナーのジャンキーな感じが好きだったんですけどね。う〜ん、微妙だ。
  Expasa多賀内の「Coco壱」で、食事を。Coco壱なんてわざわざ滋賀県で食べなくても、とも思うのですが、そこはやっぱりSAです。独自性があります。なんと、県内産鹿肉を使った「鹿肉カレー」なんていうメニューがありました。
  調べたところ、滋賀県内のCoco壱は他県の店舗とは異なる会社がフランチャイズ経営しているようです。なるほど、こういうことならご当地グルメとして食べに寄っても面白味がありますね。ただ、こういうのって、入店してみないと分からない部分があるので、店名を「近江Coco壱」にするとか、わかりやすくした方がいいのではないか、と思いますが。
  帰りは、関西本線で。途中、関駅で下車し、駅に隣接している道の駅「関宿」に立ち寄ります。ありました、施設内に軽食コーナー「関次郎」。私の個人的な基準では、これもまた「駅そば」のカテゴリーに含まれます。地方鉄道文化が衰退していく世の中、駅そばの新形態として「道の駅そば」が今後、増えていくのではないかと思われます。
  値段がちょっと高いのが難点でしょうか。かき揚げそば、500円です。味は悪くはないですが、冷凍麺なのか、あまり香りのない麺でした。
  JR関駅にはちょっとした売店というか土産物店があったので、お土産と、列車内で食べる用に巻き寿司を買ってみました。これ、400円。たいへんリーズナブルです。「駅弁」の肩書きはつかないようですが、むしろその分安くなっているのかな、と。「駅弁」として売るのなら、たぶん600円くらいになるでしょう。私は「駅弁」の肩書きにはとりわけ価値を見出さない人間なので、安く済むのなら肩書きは不要です。
  まだまだ食べまくります。名古屋駅から街歩きを始めて、途中の久屋大通駅付近で駅そば認定できる「どんどん庵」を見つけたので、寄りました。
  このチェーンは通常のセルフ店よりもさらにセルフらしいセルフ店で、麺の湯通しやつゆ注ぎも客が行います。麺の固さやつゆの量を自分で調節できるシステムなのです。ちなみに、つゆは赤・白から選択できます(ブレンドも可能)。写真は白つゆ。ちくわ天をつけて、360円。ネギはフリーです。
  最後は、JR大船駅改札内の「かまくらそば」の、たぬきそば。ギリギリ閉店に間に合ったので、一杯掻き込んで帰りました。
  たぬき、入れすぎですね。しかも、値段がちょっと高いですね(380円)。この駅には「大船軒」が2軒もあるだけに、この内容だとちょっと苦しいのかな。生麺を使っているという点はセールスポイントになると思いますが。


戻ります。