倉庫48:北斗津軽白一色ツアー(前編)

  今回も、例によって池袋から旅が始まります。これまで、東北方面へ行くときには無条件で「04:26山手始発→上野」というオープニングだったのですが、今回は埼京線でスタートします。埼京線、結構早朝にも便があるんですね。東北本線の始発に乗りたい場合、山手始発→上野乗り換えよりも、埼京線→赤羽乗り換えの方が、家を出る時間が遅くてすみます。決して寝坊したわけではないのですが、寒いホーム上で立ちつくすのもなんなので、埼京線で。
  無事に東北本線に乗り継ぎ、福島までやって来ました。ここで、今回の旅の1発目の駅そばタイム。福島駅は、新幹線改札内を除くと「駅そばがない駅」と認識していたのですが、たまたま阿武隈急行&福島交通の駅舎の方へ足を伸ばしてみたら、見つかりました。イーストビル1階に、「ふくふく屋」。オーソドックスに、たぬきそばをいただきました。370円ナリ。
  順調に列車を乗り継ぎ、岩沼へ。ここから、長町駅までブラブラ歩きます。というのも、以前に列車の車窓から岩沼駅周辺を眺めていて、「駅そばかもしれない店」を見つけていたから。降りて、確かめに行きがてら、歩こうかなと。
  しかし、残念ながら駅そばはありませんでした。それらしき店も見当たりません。建物すらありません。駅前はサラ地が目立ちます。私は幻を見たのでしょうか? それとも、この1年ほどの間に閉店・解体してしまったのでしょうか?
  その代わり、というわけではありませんが、長町で再び列車に乗り、降り立った仙台で駅そばにありつきました。駅の外ですけどね、名掛丁商店街入口角にある「そばの神田」で、肉そばを。この店は生麺を注文後に茹でていますので、香り・食感とも秀逸でした。この出来映えで370円は安いです。ちなみに、天かすはサービス(入れ放題)。そば湯も無料で楽しめます。
  そうこうしているうちに、初日の行程は終了。IGRいわて銀河鉄道の青山駅で降り、宿場となる健康ランド「マース盛岡」へ歩きます。その途中に、東北地方では不動の人気を誇る定食屋「半田屋」があったので、腹を満たすことにしました。健康ランドの中で食べると高くつくので。
  半田屋の魅力は、とにかく安さ。この日食べたのは天ぷらそばと唐揚げカレー丼。合わせて、470円です。このボリューム感でワンコインとは……。ほとんど呆れる安さですね。というか、ここでもまだそばを食べている自分に呆れてしまいますね。
  一夜明けて、マース盛岡からリスタート。マース盛岡から最寄りの厨川駅まで歩く間にも沿道に雪が目立つようになってきていましたが、その先、北へ歩けば歩くほど、みるみるうちに雪が覆う部分の面積が広くなっていきました。写真は、巣子駅付近。もう、歩道は完全にコーティングされています。思えば、これが今回のタイトルにもなっている「白一色」の始まりでした。
  結局、マース盛岡から滝沢駅まで歩きました。本当はもう一駅先の渋民駅まで歩こうと思っていたのですが、ご覧のとおり、猛烈な吹雪になって歩くどころではなくなってしまいました。雪が乾いていますのでね、風が吹くと、空からだけでなく地面からも雪が舞い上げられて、傘がまったく役に立たない状態になってしまいます。
  こういう日には、温かい汁物で暖をとるに限ります。「またそば食うのかよ〜!」という声が聞こえてきそうですが、残念ながらこれはそばではありません。すいとんです。青い森鉄道の三戸駅で降り、道の駅「さんのへ」まで30分てくてく歩きました。道の駅は車で行くものという先入観が強くあるものですが、結構鉄道旅行でも寄れる道の駅もたくさんあります。まぁ、30分を徒歩圏内と捉えるかどうかは人それぞれでしょうが。中には、鉄道駅併設の道の駅もありますよ。
  意表をついた後には、王道に戻って駅そばを。結局、そば食うんですねぇ(笑) これも、道の駅内にあるそばコーナーで食べたものです。浅虫温泉駅の真ん前にある道の駅「ゆ〜さ浅虫」で。北国らしい、ほたて天そばです。ほたて自体は、揚げてしまうとあまり出汁が出ないし、少々固くなってしまうということもあってほどほどの印象だったのですが、麺がいわゆる「津軽そば」だったのが強く印象に残りました。まったくと言っていいほどコシがないので、好みは分かれそうですけどね。
  新幹線開通で沸く新青森駅に到着。明るいうちに到着できればと思っていたのですが、残念ながらすっかり日が暮れてしまいました。写真ではまったく人がいないように見えますが、駅舎内は結構賑わっていました。単に新しもの好きで来ている人も多いのでしょうが、大雪の影響で列車が大幅に遅れていたこともあっての賑わいだったのでしょう。
  駅舎内には、なかなか雰囲気のいい飲食店街もあります。土産物店も充実しているし、待合室も広い。まぁ駅の機能としては申し分ないのですが、問題は今の賑わいがこの先何年続くのか、ということ。4年後には新函館まで延伸しますのでね、この駅も単なる通過駅になってしまう、との見方もあります。現に、駅前の造成地はなかなか入居率が伸びていないそうで。
  新青森駅にも、しっかりと駅そばが入りました。NRE店ですけどね、新幹線改札内に、駅弁販売店を併設した「ブナの森」があります。駅そばのメニューは、オーソドックス。風変わりなメニューはありません。写真は、めかぶそば(410円)。おろし生姜が添えられるのが変わっていると言えば変わっていますが、個人的にはこれは不要です。おろし生姜を添える、あるいは用意している店はたまに見かけますが、個人的にはそば(特に温かいそば)と生姜は合わないと思います。当然、食べる前に退出していただきました。
  ちなみに、ホームはこんな感じ。ホームドア完備です。これが必要なほど多くの乗降客で溢れるのだろうか、との疑念はさておき。
  さて、青森駅に戻り、タクシーで青森港へ。駅から港までは、歩こうと思えば歩ける距離なのですが、なにしろ吹雪なのでねぇ。
  青森港から、青函フェリーで函館へ渡ります。しかし、悪天候のため欠航の可能性があるということで、なかなか切符を売ってくれません。不安に駆られながら、ターミナルビル2階の待合室で待ちます。ご覧のとおり、人が全然いないので、ますます不安になります。
  なんとか、欠航は免れました。1670円を支払い、「あさかぜ21」に乗り込みます。ちなみに、青森・函館の航路を運行しているのは、青函フェリーの他に津軽海峡フェリーもあり、青函フェリーが欠航しても津軽海峡フェリーは運航している、ということもあります。津軽海峡フェリーの方が大型の船で運行しているので、荒天にも強いのでしょうか。青函フェリーと津軽海峡フェリーは別々のターミナルから発着していますが、青森港では隣接しているので、臨機応変に対応できます(函館港はかなり離れている)。ただし、津軽海峡フェリーは運賃がお高いということをお忘れなく。
  もともと貨物船だっただけに、船内設備は最低限程度です。しかし、一応シャワーがあるし、横になれるタイプの船室なので、夜行便ならば一泊の宿として使うことも可能。1670円で一泊できると考えれば、お買い得です。空いているしね。
  函館港に到着。雪はさらに酷くなっていて、膝までずっぽりと埋まります。雪かき、しようよ。いつもならタクシーが待機していると思うのですが、この天候&夜行便ということで、タクシーは見当たりません。最寄りの五稜郭駅まで、自力で辿り着くしかなさそうです。その距離、徒歩約25分。靴の中だけでなく、ズボンも、コートも、前進グチョグチョです。髪の毛も、パキパキに凍りついてしまいました。冬の北海道では、フードが必需品ですね。
  こういう日には、温かい汁物で暖をとるに限ります。五稜郭駅の待合室に駅そば「みかど」があったので、早速いか天そばで体を暖めることにしました。
  味覚的には普通なんですけどね、こういう日にはたいへん美味しく、というかありがたく感じます。お値段は、350円。わりと安いです。
  この日はさらに天候が悪化しており、朝から列車のダイヤが大幅に乱れていました。なんでも、函館駅で線路の切り替え装置が凍りついて動かなくなってしまったのだそうで。1時間以上遅れてやって来た2両編成のワンマン列車に乗り込み、大沼公園を目指します。本当は森か八雲あたりまで行きたかったのですが、列車遅れのため大沼公園までしか行けないことになってしまいました。残念!
  しかし、厳冬の大沼公園を見ることができたのは収穫でした。夏よりも冬の方が、「他では見ることができない景色」になります。池の水が部分的に凍っていないのですが、湧き水でも湧いているためなんでしょうか。
  そろそろ帰ろうかなと思って大沼公園駅に戻ると、ちょうどSL函館大沼号が到着したところで、ゾロゾロと観光客が駅から出てきました。一様に、駅の近くにある観光案内所に入っていくのでついて行ってみることに。すると、観光案内所内で、地元の人々による民謡のショーが始まりました。個人的には、この手のショーはちょっと退屈なのですが、外国人観光客にはおおいに受けていました。
  そして、ワカサギの味噌汁が無料で振る舞われました。写真では具が入っていないように見えますが、底の方に沈んでいるだけです。体長3センチほどの小さなワカサギが、たくさん入っていました。出汁も利いています。
  てか、私はSL函館大沼号の乗客ではないのですが、この味噌汁を飲む権利は私にもあったのでしょうか……?
  大沼公園駅に戻ると、ご覧のとおりの大混乱の渦中でした。原因は、やはり列車の遅れ。外が猛烈な吹雪なので、待合室にいるしかありません。大沼公園駅の待合室がかなり広かったのが幸いでした。
  なんとか函館に戻り、ホームの駅そば「みかど」で月見そばを。写真にもちょっと雪が写っていますが、ホームの店舗なのに雪に埋もれてしまっていました。待合室にある五稜郭駅の店は暖をとる人々で賑わっていましたが、ホームの露出店はこういう日は厳しそうです。ちなみにお値段、300円。
  本来は帰りも青函フェリーの夜行便を考えていたのですが、欠航の可能性がかなりあるし、吹雪の中を駅から25分歩くのも嫌なので、スーパー白鳥から津軽線の最終列車に乗り継いで青森で一泊することにしました。このように、フレキシブルに動けるのが、北海道&東日本パスのいいところ。しかも、北東パスは、知らない間に有効期間が7日間に伸びていまして、行動範囲が格段に広くなりました。動き続ける人にとっては、青春18きっぷよりも価値が高いです。
  函館を発つまで少し時間があったので、市電に乗って湯の川温泉へ立ち寄ります。
  山内温泉(長生湯)で立ち寄り入浴をしたのですが、いい写真がないので割愛。レトロで雰囲気のいい外湯だったんですけどね。湯の川温泉には長生湯の他にもいくつか外湯がありますので、北海道に来るたびに1つずつ虱潰しにしていこうかなと思います。
  写真は、函館市電の除雪車。道路にも雪がかなり積もっていて、除雪車をフル稼働しないと市電が運行できないという状態。この除雪車に乗ってみたいと思うのは、決して私だけではないはず。
  青森に戻ってきました。駅前のカプセルホテル「サン」に投宿します。もともと利用する予定ではなかったため下調べをしていなかったのですが、まぁ、3000円ですから、それほど痛手となるような出費ではありませんでした。青函フェリーが欠航して津軽海峡フェリーに乗るとなれば、同じくらいの金額になるわけですから。
  ホテルはコンパクトで、特に浴室が狭かったのが難点ではありますが、飲食物の持ち込みができ、しかもガラガラに空いていたので、落ち着いて眠れました。今後も利用することがありそうな気がします。ホテルの営業が続けば、ですが(心配になるくらい空いていたので)。 


戻ります。