保田漁港食いだおれツアー

  東京湾フェリーが発着する金谷港の近くに、保田漁港があります。ここに、「非常に安くて美味くて量が多い食堂」があると聞きつけ、夜中に国道を飛ばして行ってきました。
  食堂は朝9時半開店で、保田着が午前4時半だったので、車の中でちょっと仮眠して、保田漁港の朝の水揚げシーンを見学してから食べに行くことにしました。
  漁港は、決して観光地ではありませんが、見学客もそこそこ来ています。わりと大きな漁船から、クレーン付きの網で船倉の魚を掬いあげています。
  岸壁には、獲れた魚を仕分けるためのベルトコンベアが設置されています。船から上がった網(魚)は、このベルトコンベアの先頭部分に下ろされます。ここに作業員が一人いて、調整しながら魚をコンベアに流していきます。言ってみれば、ダムの水流を調節するようなものです。いっぺんにたくさん流れすぎると、下流の作業員が大変になりますし、流す量が少ないと、いつまでも作業が終わらなくなってしまいます。
  この人、最初は手に持っていた網で流す量を調節していたのですが、そのうち面倒になってきたのか、後半は足でやっていました(^^;
  コンベアの両脇に作業員が立ち(写真には1人しか写っていませんが、実際には4〜5人並んでいる)、仕分けています。基準がよく分からないのですが、大きいものを取り出して、小さいものはコンベアの最後まで流れていくように感じました。なお、ここで流れているのは鯖と鰯ですが、コンベアの途中に隙間があり、小さな鰯はそこで下に落ちるようになっています。したがって、最後まで流れてくるのは鯖(写真)だけ、ということになります。コンベアは2時間ほど動き続けていましたから、かなり大漁ですね。
  仕分けされた魚は、随時フォークリフトで運んでいきます。この時、見物人が周囲にたくさんいるので、ちょっと危険なムードですね。しばしば、作業員から「危ないよ!」と声が飛んでいました。
  おまけに、岸壁上は水浸しで、ところどころ大きな水たまりもできていますので、スニーカーで動き回るとすぐに靴の中がぐちょぐちょになります。サンダルだと、なおのこと危険ですね。見物客でも、慣れた人(食堂の常連さんでしょうか)は長靴を履いていました。
  船を覗き込んでみると、こんなものが。
  いよいよ、マンボウの水揚げです。今日の収穫は、大小合わせて5匹。頭にフックを掛け、クレーンで吊して運びます。一番大きいものは体長2m以上あります。重さはよく分かりませんが、想像を絶する重さだと思います。マンボウって、愛嬌のある顔形をしていますから、これはちょっとかわいそうなシーンでした。
  ご覧のとおり、ケースに入りきりません。作業員がフックを使ってなんとかケースの中に押し込もうとするのですが、びくともしません。たぶん、1匹200キロくらいあるんじゃないでしょうか。
  作業が終盤になり、見物客が消え、作業員の数も減ってくると、いつしか空は鳶の大群に覆われていました。ケースに入れられた商品を、岸壁に落ちている雑魚を、上空から狙っています。
  鳶は、上空で滑空しながら獲物を探し、見つけると急降下してさらっていきます。だから、見上げていると怖いです。私に向かって急降下爆撃してくるのではないかという不安に襲われます。
  もはや、ヒッチコックの世界ですね。
  そうこうしているうちに、9時半です。いよいよ、保田漁協直営の食堂「ばんや」に突入します。
  これ、有名な店です。駐車場に停まっていた車は、ほとんどが東京や横浜のナンバーでした。
  「ばんや」のメニューは、日替わりです。その日何が獲れたかによって、メニューも値段も変わります。そして、悩んでいるとすぐに「売切」の札が下がってしまいます。昼に行ったのでは、売れ筋商品は壊滅していること間違いなし。狙いは、絶対に朝です。
  この日食べたものの値段を列挙してみましょう。
・マンボウ刺身520円
・ヒラマサあら煮630円
・鰺のなめろう730円
・刺身三点盛470円
・定食(ご飯+味噌汁+お新香)260円
  いずれも一人前ですが、実質的には3〜4人前です。一人で「あら煮」を頼んでしまうと、他のものを何も食べられなくなるくらいの量です。食べ残した場合、持ち帰ることもできます(パックも10円で売っている)が、頼みすぎには充分注意しましょう。ちなみに、私は3人で行ったのですが、前出のメニューを食べ切れず、あら煮は半分ほど持ち帰りました。
  なお、マンボウはあまり美味くないです。味がなく、ホタテ貝を食べているような感じでした。刺身には肝がつきますが、これもあまり美味いものではないです。これまた量がメチャクチャ多いので、完食するにはかなりの根性が必要になります。
  次回ここに行くことがあれば、天ぷらにチャレンジしてみたいと思います。他の人が食べているのを見て、とても美味そうだったので。


戻ります。