倉庫50:’11春の甲子園見参ツアー

  春にしても夏にしても、甲子園大会が開催されている期間は、青春18きっぷを利用することができます。しかし、こと春に関しては、個人的になかなか長い期間出ずっぱりになることができないケースが多いので、夜行バスで行くことが多いです。夜行バスでなら、最悪1日のオフがあれば行ってくることができるので。今回利用したバスは、JRバスの「超特割青春新宿号」。快適さより、安さ重視で。
  夜行バスで行くと、大阪到着時間がかなり早いので、第1試合開始までに街ブラする余裕があります。そこで、大阪駅桜橋口から阪神千鳥橋駅まで歩いてみました。
  写真は、地下鉄九条駅近くの立ちそば店「大和庵」の、スタミナそば。トッピング内容は、卵+おぼろ昆布+揚げ玉ですねぇ。大阪で「スタミナそば」というと、たいていの店では天ぷら+卵のトッピングで出てくるのですが。
  九条駅前のアーケードの商店街「キララ九条」を抜けると、道は安治川っぺりで行き止まりになります。しかし、突き当たりにあるこの建物、実はトンネルの入口なんです。向かって左側が歩行者用、右側が車用。エレベーターで川底下まで下り、トンネルを歩いて、反対岸でまたエレベーターで地上に上がります。車のエレベーターって、珍しいですね。ただし、車の方は昭和52年を最後に閉鎖されてしまい、現在は歩行者(自転車も可)しか通ることができません。
  トンネル内はこんな感じ。結構狭くて、結構長いです。自転車がビュンビュン飛ばしていると、危ない感じ(降りて押して歩くルールになっています)。随所に「痴漢に注意」的な看板が出ているのですが、ガードマンが立っているし、さほど薄暗い感じではないので、その手の危険はあまり感じません。通行者も多いし。
  さ、甲子園です。今日は何が何でも第1試合から見なければなりません。いきなりのメインイベント、東北高校(宮城)の試合が組まれているためです。震災後はロクに練習もできず、避難所支援などのボランティアをして過ごした東北高校野球部員たち。調整不足が心配される中、果たしてどんなパフォーマンスを見せてくれるのでしょうか。
  相手は、ここ数年メキメキと力をつけてきている強豪校・大垣日大(岐阜)。
  通常、春の甲子園1回戦、それも近畿勢が絡まない試合では、スタンドは全体的に閑散としているものです。しかし、今日はご覧のとおりの超満員でした。特に、3塁側(東北高校側)アルプス席はアリが入る隙もないほどでした。
  試合は、初回に大垣日大がいきなり5点を先制。やっぱりというか、調整不足が如実に現れてしまいました。実は、試合開始前、外野手のキャッチボールを見ていたときに、すでに「だいぶ固くなってるな」と感じていました。ただのキャッチボールなのに、ボールが手につかずにしょっちゅう後逸していたので。調整不足と同時に、大きく報道されたことによって余計な緊張があったのかもしれません。
  打つ方も、大垣日大の左腕・葛西投手の低めに集める投球に凡打の山。終盤にはアルプスのみならずスタンド全体が東北高校に手拍子と声援を贈っていました(これはこれで大垣日大が気の毒だった)が……。
  結果は、7−0で大垣日大の勝利。内容的には、もっと大きな差があったように感じた試合でした。ヒット数は17−4ですからねぇ。万全の状態で試合をさせてあげたかったです。でも、仮に万全の状態だったとしても、今日の葛西投手はなかなか攻略できなかったかもしれないと思います。それくらい、丁寧なピッチングができていました。
  初戦で甲子園を去ることにはなってしまいましたが、それでも、野球をできる喜びは感じることができたのではないでしょうか。ヘタクソかもしれない。力不足かもしれない。でも、一所懸命ボールに食らいついているからこそ、スタンド全体が一帯となって声援を贈ったのだと思います。
  鍛え直して、夏には万全の状態で甲子園に戻ってきてほしいと思います。その時には、さらに大きな声援が贈られるでしょう。さらに多くの人の心を揺り動かすことができるでしょう。
  第1試合が終わると、球場前のダイエーが開店時間を迎えます。そこで、昼食などを買い出しに。
  東京のスーパーでは、米、飲料、トイレットペーパー、納豆、レトルト食品にカップラーメンなど、多くの商品が品薄となり、陳列棚にも空席が目立ちました。しかし、大阪ではほぼすべての商品が通常どおり並んでいました。米がこんなにたくさん! いいなぁ……。米とトイレットペーパーを買って帰ろうかと、一瞬だけ本気で悩みました。
  しかし、大阪でも、ミネラルウォーターだけは品薄になっていました。品薄というか、ないです。開店からあまり時間が経っていないタイミングで行ってないのですから、まぁいつ行ってもないのでしょう。
  球場内に戻ります。第2試合は、日本文理(新潟)と九州国際大付(福岡)の対戦。ここ数年の躍進がめざましいチーム同士の試合なので、好ゲームが期待されます。
  ところで、今大会から球場内のカウント表示が従来の「SBO」からアメリカ式の「BSO」に変わりました。これは、ちょっと慣れるまでに時間がかかるなぁ……。でも確かに、序列としてはBSOの方が正しいような気もする。打者に有利なカウントを上に、投手に有利なカウントを下に。色も、信号どおりの組み合わせ。慣れればこっちの方がいいのかも。
  試合は、九州国際大付が終始優位に進めるも、日本文理も必死に食い下がり、終盤までもつれる接戦に。しかし、エース三好投手が12三振を奪う力投が光り、4−2で九州国際大付が勝利しました。この後、九州国際大付は決勝戦まで駒を進めたわけですから、接戦に持ち込んだ日本文理の実力もなかなかのものだったと評価するべきでしょう。
  ところで、九州国際大付を率いるのは、かつて東北高校でダルビッシュ投手を育てた若生監督(右から2番目)。東北高校が敗れた直後の試合で勝利したわけですが、果たしてどんな思いで校歌を聴いていたのでしょうか。
  第3試合は、北海(南北海道)vs天理(奈良)。実績的に、天理が一枚上かなと見ていましたが、北海のエース・玉熊投手の打たせて取るピッチングがはまりました。天理の拙攻も目立ち、両者ともになかなか得点できない展開。
  結局、6回に相手の失策で得たチャンスを活かして1点をもぎ取った北海が殊勲の勝利。後になって気づいたのですが、玉熊投手は今大会の公式ガイドブックでグラビアトップを飾る注目選手でした。さほど球威があるようには見えなかったのですが、コントロールと変化球のキレが武器なのでしょうか。変幻自在といった投球で、天理打線を巧みに打ち取っていました。北海は準々決勝で敗れましたが、準優勝の九州国際大付を相手に4−5の接戦。侮れないチーム力を持っていたようです。
  春の甲子園は1日3試合なので、終わった後に時間がたっぷりあります。もちろん、駅そば巡り敢行です。まず最初は、十三駅。ホームの「阪急そば」で、敢えてスタミナそばを。そうそう、これが大阪のスタミナそばなんです。
  ちなみにこの店、関西地区の私鉄駅としては最古の駅そば店なのだそうです。
  同じく十三駅。西口を出てすぐ左にある「千成うどん」の、山菜そば。大阪にしては比較的色が濃いように見えるかもしれませんが、これは照明が暗いためです。実際には、見ても飲んでも100%関西風です。
  食べ終わってから、厨房内に並んでいた天ぷらを見て、「しまった、天ぷらそばにすればよかったなぁ」と思いました。巨大なんですね。具ナシ&薄っぺらですが、見た目のインパクトはなかなかのもの。写真を載せるには最高のメニューだったなぁ……と。
  そばの写真が3枚続きましたが、これは翌朝。心斎橋の定宿「アルデバラン」に宿泊したのですが、ここでは特に何も起こらなかったので、スルー。
  翌朝の朝食は、四ツ橋駅近くの「麺之庄つるまる」で。名物になっている「朝食セット」です。かけそば(天かすは無料入れ放題)とミニ鶏めしのセットで、なんと300円! 駅そばの中には、朝限定のお得メニューを用意している店が結構あるので、要チェックです。
  今日も甲子園に来たのですが、実は朝寝坊をしてしまい、第1試合は見逃しました。加古川北(兵庫)vs波佐見(長崎)という、個人的にはあまり関心の高くない対戦だったということもあって、油断してたかな……。加古川北が、2試合連続で完封勝利を飾ったようです。
  第2試合は、日大三(西東京)と静清(静岡)のカード。常連校対ちょっと懐かしい高校(「静清工」時代に何度か見た気が)の対戦です。
  下馬評では、圧倒的に日大三が優位。エース吉永投手が安定しているし、プロ注目の4番・横尾選手(写真)を中心とした打線も破壊力抜群。
  しかし、1回負けたら終わりの高校野球では、なかなか下馬評どおりの結果にはならないものです。静清のエース・野村投手をなかなか攻略できず、ロースコアの展開に。横尾選手もノーヒットに抑えられました。個人的に、「日大三は格下相手に不覚をとることが多い」と感じているのですが、ここでもちょっと危ないなと。結果的には3−1で勝利したものの、「スカッと爽快!」とはいかなかった印象でした。
  試合の合間にバックヤードを歩いていたら、こんなメッセージボードを見つけました。毎年あるものなのかもしれませんが、今年は東日本大震災があったためか、とりわけ「東北地方への応援」が目立ちました。東北高校だけでなく、「光星学院」の文字も見えますね。
  そう、まだ東北の秘密兵器が残っているのです。大震災では大きな津波被害を受けた八戸市に学校がある光星学院(青森)が、被災地の学校として唯一1回戦を突破して勝ち残っているのです。ちょうど、アルプス入口前に応援団が集まっていたので、一声かけて写真を撮らせていただきました。団員の手には、「がんばろう日本」と書かれたボードが。「がんばろう東北」ではないところに奥ゆかしさを感じたのは、私だけでしょうか。
  しかし、今日の対戦相手は智弁和歌山。「昨年ほどの迫力はない」そうですが、百戦錬磨の強豪校です。一筋縄で太刀打ちできる相手ではありません。
  ところで、智弁和歌山というと、以前に「応援に鉄琴を使っていて音色が綺麗だ」と紹介しましたが、今大会では鳴り物による応援が自粛されていました。智弁に限らず、全校で。この手の自粛って、イマイチ意味が分からない。自粛することで、何かプラスになるのだろうか……? ちょっと寂しいというか、残念でした。
  試合は、一進一退の白熱した展開に。両チームとも、チャンスは与えるけれどあと1本を許さない、失点しても後続をキチッと打ち取るという、締まった試合でした。結果的には3−2で智弁和歌山が勝ちましたが、実力差はほとんどなかったかなと思います。
  これで、被災地から出場した3校(あと1校は水城(茨城)で、1回戦敗退)は、すべて甲子園を去ることになりました。1校でもベスト4くらいまで勝ち進めば盛り上がるなぁと思っていたのですが、現実は甘くないですね。でも、これはあくまでも夏へ向けての布石。きっと、夏にはまた元気な姿を見せてくれることでしょう。
  試合後は、夜行バスの発車時間まで、駅そば巡業。1杯目は、伊丹駅裏手のイオンモール内にある「吉野家」。果たして、このチェーンが関西でどんなそばを出してくるのか、興味津々で訪れました。セットの牛丼は、おまけみたいなもの。
  結論を言うと、思いっきり関東風のそばでした。東京で食べる「吉野家」のそば、そのまんま。薬味のネギだけ、青に変わっています。う〜ん、この味覚、それにこの色合い、関西で受け入れられるんでしょうかね。個人的には美味いと思うんですけど。
  最後は、阪急宝塚線・岡町駅前の「都そば」の天ぷらそば。そうそう、この色合い、これこそが大阪のそばですよ。290円という安さ、これこそが大阪のそばですよ。店舗数が多く、累計するとかなりの実食数になる「都そば」。味覚的には「?」な部分もあるのですが、関西に行くと1回は食べたくなります。ちょっとジャンキーな感じが、たまらなく心地いいんです。このジャンキー感を漂わせる店は、大阪でも着実に減ってきていますから……。


戻ります。