おぎのや峠の釜飯ツアー


  横川〜軽井沢のアプト式が廃線になったことによって、JR信越線の横川駅はどん詰まりのローカル駅に成り下がってしまった。それでもなお、朝も早くから横川駅前には観光客の姿がちらほらと見受けられた。客寄せの任を一手に引き受けているのが、これから紹介する「おぎのや」であると言っても過言ではないだろう。
  まずは駅そばで腹ごしらえから。横川〜軽井沢が廃線になって、さすがに駅そばは撤退してしまったかなと思っていたのだが、ちゃんと健在だった。それも、ホーム側・駅舎の外側の両側から食べられる造りになっている。ま、終着駅だから、列車に乗ってくる人は全員駅を出るわけで、ホーム側に窓口を設ける必要があるかどうかと言われれば、微妙なのだが。
  この店、駅そばにしては珍しく生麺を使っています。2〜3分待たされるけど、味は○です。メニューは、かけ、玉子、天、天玉の4種類だけ。素朴です。
  ちなみにこの駅そば、「日本最古の駅そば」であるという説があります。はっきりとは分からないのですが。
  さ、腹を満たしたところで、探検探検。
  駅を出て正面にあるのが、この看板。横川は、釜飯の発祥地なんですね。今では全国に釜飯モノの駅弁が出回っていますが、すべてはおぎのやが昭和32年に売り出した「峠の釜飯」がルーツというわけですか。
  一方で、こんな看板も目を引きました。おぎのやの創業は、明治18年。横川駅の開業と共に歴史を刻み始めています。当初の駅弁は、「おにぎり」だったとか。なお、正確には日本最古の駅弁屋は宇都宮駅らしいです(下記の「おぎのや資料館」の掲示資料による)。タッチの差で、おぎのやは2位ですね。それでも、120年近い歴史があるというのは、すごいことですね。
  目抜き通り(と言っても、狭い路地)をちょっと歩くと、こんな看板が出ています。さすがは全国に名を馳せるおぎのや、オリジナルの資料館まで作っているんですね。しかも、これが無料で自由に見学できるという太っ腹。これはもう、見ていくしかないでしょう!
  館内は2つの部屋に分かれていて、それぞれに資料の展示や写真等の掲示があります。最初の部屋で一番面白かったのは、これ。きっと、ホームで立ち売りしていた当時に使用していたものなのでしょう。アプト式が廃止になって、この手押し車も役目を終えたようですね。
  この他では、鉄道車両で使われていた座席をそのままもぎ取って配置されていた(休憩用?)のも、印象深かったですね。
  奥の部屋で面白かったのは、「釜」の製造工程を解説する展示。この釜、益子焼きです。他の駅の「釜飯」の多くは、プラスチックの器を使った「似て非なるモノ」なのですが、おぎのやの「峠の釜飯」は、正真正銘釜飯です。
  この釜、食べ終わった後は持ち帰れます。そして、家でこの釜を使ってご飯を炊くこともできます(1合用)。私も、食べるたびに持ち帰っています。結構重いんですけどね(^^;
  駅前から国道を少し高崎方面へ行くと、右側にどでかいドライブインがあります。おぎのやはあちこちに店舗を出していますが、目下一番知名度が高いのは、この国道沿いのドライブインではないでしょうか。観光バスがひっきりなしに入る、上信越路の定番休憩スポットですから。24時間営業です。
  私は今までに10回以上このドライブインに立ち寄っていますが、今回は今までの中で一番空いていました。深夜より、午前中の方が空いているかもしれません。
  店内の客席、前はもっと雑然としていたような記憶があるのですが、人が少ないから整っているように見えるのでしょうか。
  一番の人気商品は「峠の釜飯」ですが、他にもそば・うどん、ラーメン、フライドポテト、焼きそば、力餅(これも碓氷峠名物)など、何でもあります。
  こちらが、件の「峠の釜飯」売場。1つ900円です。まぁ、本物の釜を使っていることを考えると、かなり安いのではないでしょうか。駅弁って、結構相場が高いですからね。ちょっといいものになると、すぐに1000円を超えてしまいます。
  なお、「峠の釜飯」の賞味期間は、製造から8時間です。「製造時間=販売時間」ではありませんが、今回私が買ったのは午前8時40分くらいで、製造時間は午前8時でした。それほどタイムラグはないようですね。持ち帰って家で食べようと考える場合、特に夏場は気をつけましょう。
  駅そばでそれなりに腹が膨れていたこともあって、私は持ち帰って食べました。いよいよ、お待ちかねのお披露目会です。
  じゃじゃーん!
  具は、真ん中にウズラ玉子、右から時計回りに紅生姜、タケノコ、栗、ゴボウ、鶏肉、椎茸、グリンピース、そしてアンズです。信州名物のアンズが入っているというのが、一つのポイントですね。合わなそうな先入観を抱きがちですが、意外に違和感はありません。
  ご飯は、茶飯になっています。買ったときはホカホカで、帰るまでにすっかり冷めてしまいましたが、冷めても美味しいのが「峠の釜飯」が人気を呼ぶ一因だと思います。
  年に1回くらいは、この味と風情を楽しみに行きたいものですね。


戻ります。